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1月7日の百物語
カエル石
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むかしむかし、あるところに、とてもカエルによく似た大きな石がありました。
この石は『カエル石』と呼ばれ、自分の上に止まった小鳥をパクリと食べてしまうとの言い伝えがありました。
ある日の事、近くの子どもたちが度胸試しに、そのカエル石にさわろうとしました。
一人の子どもがカエル石に恐る恐る近づいていくと、ふいに空から一羽のスズメが飛んできてカエル石の上に止まりました。
するとカエル石が大きな口を開けて、自分の上に止まっているスズメをパクリとひと呑みにしたのです。
「カ、カエル石が本当に鳥を食った!」
子どもたちから話を聞いた大人たちが半信半疑でカエル石の所にやって来ると、その大人たちが見ている前でもカエル石は自分の上に止まった小鳥をパクリと呑み込んだのです。
「本当だ! 本当にカエル石が鳥を食ったぞ!」
そしてその日以来、カエル石はさかんに小鳥を食べるようになったのです。
そんなある日、一人のお百姓が畑仕事をしながらカエル石の様子を観察していると、何とカエル石は日が暮れるまでの間に三十羽もの小鳥を食べてしまったのです。
「一日で三十羽なら、ひと月で九百羽だ。このままでは、村の小鳥は全部食べ尽くされてしまうぞ」
お百姓は村人たちと話し合い、その日の真夜中、カエル石の口のまわりを丈夫な縄でぐるぐる巻きにしばりました。
「さすがのカエル石でも、これで口を開けられまい」
次の朝、お百姓が畑に出てカエル石の様子を見ていると、カエル石の上にスズメが三羽止まりました。
「カエル石め、スズメを食おうにも、その口では食えないだろう」
お百姓がそう思っていると、カエル石は難無く口を縛っている縄を引きちぎり、大きな口を開けて三羽のスズメをパクリと呑み込んでしまったのです。
「なんという力だ。もうカエル石には、誰も近寄らせないようにしないと」
こうして村人たちはカエル石に近づく事を禁止したため、今ではどの石がカエル石か誰も覚えていないという事です。
でも今も、カエル石は上に止まった小鳥を食べているのでしょうね。
おしまい
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