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      ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >四月 
         
      4月4日の百物語 
          
          
         
油屋の娘 
卖油翁的女儿 
     
    翻訳者 広東省恵州学院  陳思頴 
     
    にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文 
      
       むかしむかし、ある村に、魚釣りの好きな三人の男がいました。 
           在很久很久以前,在一个村庄里,有三个喜欢钓鱼的男人。 
         
         
 ある日の事、三人が川で夜釣りをしていると、川向こうにボーッと赤い火が浮かびあがりました。 
 有一天晚上,三个人在河边钓鱼时,河的对岸突然冒出一团红色的火焰。 
 
 三人が不思議に思って見ていると、火はパッと消えました。 
 正当三个人觉得奇怪的时候,那团火焰又一下子消失了。 
 
「消えた」 
“不见了” 
 
「何だろう?」 
“怎么回事?” 
 
「よし、わしが調べてやる」 
“我去看一下。” 
 
 三人の中で一番勇気のある男が、小舟に乗って向こう岸へ渡ってみました。 
 三人之中最有勇气的一个男人,乘着小船向对岸划去。 
 
 赤い火が燃えていた辺りに行ってみると、一軒のあばら屋があって、中へ入ってみると美しい娘がたった一人、うつろな目で座っているのです。 
 划到出现红色火焰的附近时,出现了一间卖油的店铺,里面只有一位美丽的姑娘,眼神空洞地坐在那里。 
 
「あの、道に迷って困っておるので、今晩ここへ泊めてくださるまいか?」 
“请问,我迷路了,今晚可以在这里借宿一晚吗?” 
 
 男が声をかけると、娘は急に怖い顔で言いました。 
 听到男人的声音,姑娘突然惊恐地说: 
 
「いけません! ここは、恐ろしい鬼の家です。見つからないうちに、早く逃げてください!」 
“不行!这里是恶鬼的家!趁你还没被发现快点逃走!” 
 
「いや、そうは言われても・・・」 
“不,虽然这样说…” 
 
 娘が何を言っても男があきらめないので、娘は仕方なく男を奥の部屋へ案内しました。 
 无论她说什么,男人都不肯走。姑娘没办法,只好把男人带进屋内。 
 
 そして、こう言いました。 
 然后对他说: 
 
「どんな事があっても、決してここから出てはなりませぬ。出れば、殺されます」 
“无论发生什么事,都不要从这里出来。你一出去,就会被杀死!” 
 
 
 さてその晩の事、男が奥の部屋で寝ていると、 
 就这样,那天晚上,男人在里面的房间睡觉时, 
 
「きゃあーー!」 
“啊!!!!!!” 
 
と、女の悲鳴が聞こえてきました。 
 听到了姑娘的尖叫声。 
 
「何事だ!」 
“发生什么事!” 
 
 男は飛び起きて部屋を飛び出そうとしましたが、途中で娘の言葉を思い出すと、そっと戸を開けて隣の部屋をのぞいて見ました。 
 男人起身想要冲出屋子,但跑到一半想起姑娘的话,于是悄悄地打开门,往隔壁的房间偷瞄。 
 
 すると驚く事に、大きな赤鬼が燃えさかる火の上で、娘を火あぶりにしているではありませんか。 
 然后看见了可怕的事。那只巨大的红鬼燃起的熊熊大火上面,,不就是正在遭受火刑之苦的姑娘么。 
 
「むごい事を・・・」 
“这么残酷的事情。。。” 
 
 さすがの男も、足がすくんで動けません。 
 就连勇敢的男人,也害怕得动也不敢动。 
 
 そうするうちに火がパッと消えて、同時に赤鬼の姿も消えてしまいました。 
 这时,火突然灭了,同一时间红鬼的身影也消失了。 
 
「だっ、大丈夫か!」 
“你没事吧?” 
 
 男は娘のそばへ駆け寄って、娘を抱きあげました。 
 男人跑到姑娘的旁边,抱起了她。 
 
 娘はぐったりしていますが、不思議な事に火傷一つしていません。 
 姑娘虽然筋疲力尽,但不可思议的是一点都没被烧伤。 
 
「これは、どうした訳じゃ?」 
“这是怎么回事?”男人问道。 
 
 男がたずねると、娘が言いました。 
 姑娘说: 
 
「わたしは、大阪の油屋の娘です。 
“我是大阪一个卖油翁的女儿。 
 
 父がお客に油の量をごまかして売る為に、私は毎晩、こんな目に合わさせているのです。 
 因为父亲卖油给客人时总是缺斤少两,这让我每天晚上都要遭受如此折磨。 
 
 お願いです。 
 我有一个请求, 
 
 わたしの家へ行き、家にある油を全部、高野山のお寺に寄附する様に父へ頼んでください」 
 请你去我家,让我父亲把家里所有的油都捐赠到高野山上的寺庙去。” 
 
 そして娘は、証拠の印に自分の片袖をちぎって渡しました。 
 然后姑娘撕下了自己一边的袖子,作为物证交给男人。 
 
「よしわかった! 任せておけ!」 
“我知道了,交给我吧。” 
 
 男はさっそく、その片袖を持って大阪の娘の家へ行き、主人に事の次第を詳しく話したのです。 
 很快男人就带着那一半袖子,去到了姑娘在大阪的家。向男主人详细讲述了事情的来龙去脉。 
 
  ところが主人は、 
 但是男主人并不相信他,还说 
 
「そんな馬鹿な。 
 娘はずっと前から病気で、ほとんど意識がないのじゃ。 
 とても外へなど、出られるはずがない」 
と、信じてくれません。 
“这太胡扯了,我女儿一直生着病,一点儿知觉都没有,不可能跑出去的。” 
 
 しかし男の持って来た片袖は、まぎれもなく娘の物です。 
 但是男人带来的袖子,确实是他女儿的东西。 
 
 主人は念の為に、座敷の布団に寝ている娘の着物を見てみました。 
 为了慎重起见,男主人查看了睡在被子里的女儿的衣服。 
 
「あっ!」 
“啊!!” 
 
 なんと娘の着物の片袖が、ちぎれてなくなっているではありませんか。 
 女孩衣服上一边的袖子,竟然真的被撕掉了。 
 
 主人はさっそく店の者に命じて、家にある油を全部、高野山のお寺に持って行かせました。 
 男主人急忙吩咐店里的伙计,让他们把家里所有的油都带到高野山上的寺庙去。 
 
 すると不思議な事に、娘の病気がけろりと治ってしまったのです。 
 于是不可思议的事情出现了,姑娘的病完全好了。 
 
 主人は大喜びすると、男に言いました。 
 男主人很高兴,对男人说: 
 
「ありがとうございます。 
“太谢谢你了! 
 
 おかげで、娘が救われました。 
 多亏你我女儿才能得救。 
 
 どうかこの油屋の跡取りとして、これからも娘を守ってください」 
 请一定要收下我这间油店,从今以后也请好好保护我女儿!” 
 
 
 こうして男は娘の婿に迎えられ、幸せに暮らしたという事です。 
       就这样,男人成为了姑娘的丈夫,两个人幸福地生活下去。 
      おしまい 
      結束 
         
       
        
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