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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >五月
5月11日の百物語
動く城
移动的城
翻訳者 広東省恵州学院 林霊玲
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、ある大名に、美しい姫がいました。
很久很久以前,一处领地的领主有一位很美丽的公主。
姫が年頃になると、ある立派な若侍(わかざむらい)が毎晩の様に現れて、姫はその若侍に恋するようになりました。
公主成长到青春期时,喜欢上了一位每晚都会出现的帅气的年轻侍卫。
姫は若侍に名前や家をたずねましたが、若侍は何も答えてくれません。
公主询问这位侍卫的名字和家庭住址,可是他却什么也没回答。
ある日の事、姫がその事を乳母に打ち明けると、
「それでは、そのお方の着物のすそに、長い糸を結んだ針をつけてごらんなさい。その糸をたどれば、どこのどなたかがわかるでしょう」
と、教えてくれました。
有一天,公主向她的乳母坦白了那天的事,于是乳母教她:''那你就在他衣服的下摆穿一根长针线,如果这条线断了,那你就能知道他是谁,来自哪里了吧。
姫は乳母の言う通りにして、若侍の着物のすそに長い糸を結んだ針を刺しました。
公主按照乳母说的去做了,在那位年轻侍卫的衣服下摆穿了一根长线。
それに気づかなかった若侍が帰った後、姫がその糸をたどってどこまでも行くと、糸は中の島の池の中まで続いています。
对这件事完全没发觉的年轻侍卫回家之后,公主沿着线边走边寻找,发现长线竟然连接到了城中小岛的水池中。
この中の島の池は、むかしから妖怪が住んでいると言われていました。
很久以前就传说这座城中小岛的水池里住着一位妖怪。
「もしや、あのお方は妖怪なのでは」
「那位侍卫该不会是妖怪吧。」
姫は若侍が妖怪だと思って悲しみましたが、その夜、大名の夢枕(ゆめまくら)にその若侍が現れて言いました。
公主心想着那位年轻侍卫竟然是妖怪,不禁陷入了悲伤之中,那天晚上,那位年轻侍卫出现在领主的梦中对他说道:
「わたしは、池の主の大ガメです。
「我是水池的主人,一只庞大的乌龟。
姫に心をひかれて、毎夜かよっておりました。
被公主的心吸引,于是每晚都出现在她身边徘徊。
しかし正体を見破られては、どうする事も出来ません。
可是现在被发现了真身,什么事情都无法做了。
おわびのしるしに、中の島に城をお築ください。
作为道歉的回礼,请你在城中的小岛处建一座城吧。
その城は、きっと難攻不落(なんこうふらく)の城となりましょう」
那座城一定永远不会被攻陷。」
大名が言われた通りに城をつくると、本当に難攻不落の城となりました。
领地的领主按照他所说的在那里建了一座城,结果真的成为了不会被攻陷的城。
なぜなら、敵が攻めて来ると城は島ごと動いてしまうので、敵はどうする事も出来ないからです。
为什么会这样呢?那是因为当敌人想要来攻城时,这座城就会连着小岛一起晃动,敌人就什么都做不了了。
そんなある年の事、城の中に井戸を作る事になりました。
有一年,有人要在那城中挖一口井。
井戸掘り職人が固い岩盤を打ち破って穴を掘り下げていくと、穴からは水ではなくおびただしい血が吹き出しました。
挖井的工人将地表下坚固的岩盘打破,当他继续挖井的时候,从洞穴里涌出来的不是水而是大量的鲜血。
実はこの城のある島は、あの大ガメの甲羅だったのです。
事实上这座城中的小岛是那个庞大的乌龟的龟壳。
血が七日七晩吹き出すと、島は二度と動かなくなってしまったという事です。
鲜血涌现了七天七夜后,小岛便再也没有移动过了。
おしまい
結束
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