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      ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >六月 
      6月10日の百物語 
          
          
         
ろくろっ首 
长颈姑娘 
 
東京都の民話 → 東京都情報 
       
      翻訳者 広東省恵州学院 巖朝樺 
       
      にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文 
      
      
       むかしむかし、江戸(えど→東京都)の堺町(さかいまち)には、いくつもの芝居小屋(しばいごや)が並んでいて、たいそうな賑わいでした。 
           很久很久之前,在东京城的镜町排列着许多戏棚,非常热闹。 
         
         
 ある日の事、きれいな娘が一人で、 
 ♪チリン、チリン 
と、ゲタの鈴(すず)を鳴らして、芝居小屋の前の人混みを歩いていました。 
 一天,一位很漂亮的姑娘摇着铃铛走进了戏棚前的人群中。 
 
 よほど芝居好きなのか、一枚、一枚、どの小屋の絵看板(えかんばん)も、食い入る様に見ながら歩いていきます。 
 也许是因为喜欢戏剧吧,姑娘一边注视着戏棚的宣传画像,一边走着。 
 
 そして気に入った役者の絵があると、その前にピタリと止まり、首がスルスルと伸びていったのです。 
 而且,如果有喜欢的戏剧演员的画像,就会突然停下来,伸长脖子看。 
 
 娘は夢中のあまり、自分の首が伸びている事には気がつきません。 
 姑娘因为太入迷,完全没注意到自己伸长的脖子。 
 
 ところが、通りがかりの人はビックリ。 
 路人却很吃惊。 
 
 みんな足を止めて、首の伸びた娘を見ています。 
 大家都停下脚步,看着伸长了脖子的姑娘。 
 
 娘は次々と絵看板を見て行って、中村座(なかむらざ)の前まで来るとピタリと足を止めました。 
 姑娘一个接着一个地看那些宣传画像,来到中村座前面时,她突然停住了脚步。 
 
 出し物は、忠臣蔵(ちゅうしんぐら)です。 
 那天的节目是忠臣藏。 
 
「力弥(りきや)もきれいじゃが、勘平(かんべい)の良い事。それに、こっちの五段目の定九郎(さだくろう)も、ほれぼれとする男ぶり」 
 力弥很漂亮,堪平也很好。而且,这边第五段的定九郎也是令人喜爱的男子。 
 
 娘の首が絵の中の中村仲蔵(なかむらなかぞう)の定九郎(さだくろう)のところまで、吸い寄せられる様に伸びていきました。 
 姑娘的头就像被牵引着一样,一直伸到了画中的中村仲藏的定九郎那里。 
 
「おい、見ろ! また伸びたぞ!」 
“来,大家快看,又伸长了。” 
 
「娘のろくろっ首だ!」 
“长颈姑娘” 
 
 まわりは大騒ぎですが、娘は全く気がつきません。 
 周围都是一片喧闹,姑娘却完全没有发现。 
 
 そして娘は何事もなかったかの様に、 
 ♪チリン、チリン 
と、ゲタの鈴を鳴らして、日本橋の方へ歩いて行ったという事です。 
       而且姑娘好像什么事也没有发生一样,继续摇着她的铃铛,向日本桥的方向走去。 
      おしまい 
      结束 
         
       
        
 
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