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      ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >六月 
      6月11日の百物語 
          
          
         
鬼の住むほら穴 
除妖记 
       
      翻訳者 広東省恵州学院   蘇思嫻 
       
      にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文 
      
       むかしむかし、山深い谷の中ほどにあるほら穴に、四匹の鬼が住んでいました。 
           从前,在深山谷中的洞穴里,住着4个妖怪。 
         
 鬼は村へおりてきては田畑を荒らし、時には女子どもをさらっていくのです。 
 妖怪一进村,就糟蹋村里的田园,有时甚至还会抓女孩。 
 
 
 ある日、この鬼の話を聞いた坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)という武将が、大勢の家来を連れてやって来ました。 
 有一天,听闻妖怪害人的武将坂上田村麻吕带了很多手下来到这个村子。 
 
 田村麻呂(たむらまろ)の鬼退治の名人で、どんなに強い鬼でも必ずやっつけてしまうのです。 
 田村麻吕是抓鬼的专家,无论多么厉害的妖怪他都能收服。 
 
 田村麻呂の一行は村人たちの案内で、鬼の住むほら穴を目指しました。 
 田村麻吕一行人在村民的带领下,直奔妖怪所在的洞穴。 
 
 その山道の途中で、村人たちが言いました。 
 在那条山路的路上,村民们说: 
 
「この先の谷に、鬼がいるそうです。しかし恐ろしいので、村人でそこへ行った者はいません」 
“听说前方的这个山谷有妖怪,可是因为村民很害怕,没有人去过那里。” 
 
「そうか、ではここからは、我々だけで行こう」 
“这样啊,好,从这里开始,我们自己走。” 
 
 田村麻呂は馬をとめると、家来たちに武器の手入れを命じました。 
 田村麻吕停下马,命令手下都拿着武器。 
 
 家来たちは弓のつるを張り直したり、よろいやかぶとで身をかためました。 
 手下们于是装好了弓,把铠甲和树桩背在了身上。 
 
 それから田村麻呂を先頭に、どんどん先へ進むと、谷の上に突き出た大きな岩の上で、鬼がのんびりと日なたぼっこをしていました。 
 在田村麻吕的带领下,徐徐前进着。这时,妖怪们正在洞前一颗突出的岩石上悠闲地晒太阳。 
 
「みんな、見つからぬ様に、身をかがめるのだ」 
“大家弯着腰走,不要让妖怪发现。” 
 
 田村麻呂は馬からおりて身をかがめましたが、目の良い鬼はすぐに気づいて、あわてて立ち上がりました。 
 田村麻吕从马上下来了,但眼细的小妖怪马上注意到了,慌张地站起来,说: 
 
「やや、おかしな連中が来るぞ。さてはわしらを、やっつけようというのだな」 
“啊,有一队可疑的人马闯进来了,好像要攻打我们” 
 
 一匹の鬼が言うと、親分らしい鬼が大声を張り上げました。 
 听了这话,妖怪的头儿大声喊道: 
 
「人間の分際で、わしらをやっつけようとは片腹痛いわ」 
“人类要来打我们,真是很可笑。” 
 
 すると田村麻呂も、負けずに言い返しました。 
 于是田村马吕也丝毫不逊色地回答: 
 
「田畑を荒らすだけならともかく、女子どもをさらうとは許せん! 必ずしとめてくれるわ!」 
“糟蹋田地也就算了,绝对无法饶恕你们抓小女孩!一定要好好收拾你们。” 
 
 田村麻呂の合図で、家来たちが次々と矢を射掛けます。 
 田村麻吕一发信号,手下们迅速射箭。 
 
「ふん、こしゃくな」 
“呀,好狂妄。” 
 
 鬼は鉄棒を振り回して飛んで来る矢を叩き落としますが、さすがは田村麻呂の家来、どの矢も鋭くうなりをあげて飛んで行き、鉄棒をすり抜けて鬼の体へと突き刺さりました。 
 虽然妖怪挥舞着铁棍,打落了飞来的箭,但不愧是田村麻吕的手下,锐利的箭又朝它们射去,打下妖怪的铁棒,刺进妖怪的身体。 
 
「げっ! 何という手練 れだ。これはまずい」 
“啊。好厉害,这下可不好办了。” 
 
 鬼はびっくりして、その場から逃げ出そうとしました。 
 妖怪们吓坏了,想要逃出这里。 
 
「それっ! 逃がすなー!」 
“哪里逃,别想跑掉。” 
 
 田村麻呂は自慢の長い刀を引き抜くと、すばやく岩の上へ駆け上って鬼の親分に切り付けました。 
 田村麻吕拔出了引以为豪的长刀,迅速跑到岩石上方挥砍妖怪头儿。 
 
「ギャオオオオーーーーー!」 
“啊呀呀呀呀呀…….” 
 
 刀で切り飛ばされた鬼の親分の首が、空高くはねあがりました。 
 刀起头落,妖怪头儿的头被砍了下来,飞到了空中。 
 
 しかし、さすがは鬼の親分。 
 空高くはねあがった鬼の親分の首は空中でくるりと向きを変えると、恐ろしい顔で田村麻呂めがけて飛びついて来ました。 
 可是不愧是妖怪头儿,他的头在空中突然改变了方向,面目狰狞地朝着田村麻吕飞了回来。 
 
 ですが田村麻呂が素早く身をかわしたので、鬼の首は近くの木の根元に噛み付き、最後の力で木の根元を噛み砕くと、そのまま動かなくなりました。 
 但是田村麻吕很快地闪开身子,妖怪的头咬在了树根上,用尽力气咬碎了树根,之后就一动也不动了。 
 
 そして残った三匹の鬼も家来たちによって切り倒され、ついに四匹の鬼退治がされたのです。 
 剩下的3个妖怪都被手下们消灭了。因此四个妖怪都被消灭了。 
 
 
 その時、ほら穴の奥から人のすすり泣く声が聞こえてきました。 
 就在这时,洞里传来了人的哭声。 
 
 家来たちがほら穴に駆け込んでみると、一人の女の子がフジ(→マメ科のつる草の総称)のつるで体をしばられたまま泣いていました。 
 手下们进入洞中,发现有个被藤蔓绑住的女孩正在哭泣。 
 
 わけを聞くと、二日前に鬼にさらわれて来たそうです。 
 しかし、それより前にさらわれた女子どもは、すでに鬼に食べられてしまった後なのか、どこを探してもいませんでした。 
 问了之后得知,她似乎是两天前被抓到这里的,其他之前被抓来的女孩可能都被妖怪们吃掉了,到处都找不到。 
 
 
 こうして田村麻呂のおかげで鬼はいなくなり、村人たちは安心して暮らせる様になったのです。 
       就这样,多亏了田村麻吕,妖怪们被除掉了。村民们又可以安心地生活了。 
      おしまい 
      结束 
         
       
        
 
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