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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >八月
8月8日の百物語
弟切草
弟切草
翻訳者 広東省恵州学院 陳婉秋
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、あるところに、とても仲の良い二人の兄弟がいました。
很久很久以前,在某个地方,有两个关系特别好的兄弟。
この兄弟は、顔も性格も食べ物の好みも、何から何までそっくりです。
这对兄弟不管长相也好,性格也好,对食物的喜好也好,什么都一样。
ある日の事、二人は一人の女の人を同時に好きになってしまい、その女の人と結婚したいと思いました。
有一天,两兄弟同时喜欢上了同一个女人,都想和这个女人结婚。
食べ物なら二人で分ける事も出来ますが、女の人ではそうはいきません。
食物的话可以两个人分,女人的话就不行了。
その為に二人の仲は悪くなり、ある日とうとう、女の人をめぐって殺し合いを始めたのです。
为此,兄弟两人的关系渐渐变差了。某一天,两兄弟终于为了这个女人开始自相残杀。
殺し合いの結果、わずかに力が勝っていた兄が弟を刀で斬り殺したのですが、兄は血を流して倒れている弟を見て、自分がとんでもない間違いを犯した事に気がつきました。
结果,力气稍大一点的哥哥用刀杀了弟弟。看到流着血倒下的弟弟,哥哥意识到自己犯了十分荒唐的错误。
「ああ、何て事を。おれは女にうつつを抜かして、大切な弟を殺してしまった」
“啊!我究竟干了什么!我居然因为迷恋一个女人而把重要的弟弟杀了。”
兄は弟の為に立派なお墓を建てると、あれほど好きだった女の人と結婚する事もなく、毎日弟の墓参りをして暮らしていました。
哥哥为弟弟建了一个华丽的坟墓,也没和之前那么喜欢的女人结婚,每天就是到弟弟的坟前扫墓。
そんなある日、いつもの様に弟の墓参りに来た兄は、墓のそばに見た事がない黄色い花が咲く草を見つけました。
某一天,像往常一样来给弟弟扫墓的哥哥,在墓旁发现了之前从未见过的开着黄色花朵的草。
その草の葉を日に透かしてみると、まるで血を垂らした様な黒い点が付いていました。
透过阳光可以看到像血滴一样的黑点附在那棵草的叶子上。
「黄色は、弟が好きだった色。
黄色是弟弟喜欢的颜色。
そしてこの黒い点は、弟の血を吸ったのだな。
这些黑点是吸了弟弟的血形成的吧。
弟はまだ、おれを恨んでいるのか」
弟弟他还是恨着我啊。”
この話を知った人々は、この草を弟切草(おとぎりそう)と名付けました。
知道这件事的人,把这种草叫做弟切草。
さて、この悲しい名前の弟切草ですが、この弟切草は傷の妙薬で、この草を煎じて傷を洗えば、傷はたちどころに治ると言われています。
话说,有着这样一个悲伤的名字的草——弟切草,是一种治伤的妙药。把这种草熬了之后用来清洗伤口,受伤的地方就会马上被治好。
これは仏さまが悲しい出来事をあわれんで、この草に霊力を授けたのだと言われています。
听说这是因为佛祖可怜这件悲伤的事,将灵力赐给了这种草。
おしまい
結束
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