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8月13日の百物語
(8月13日的日本鬼故事)
船ゆうれい

船幽霊
幽靈船

日本語 ・日本語&中国語

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
船の折り紙ふね   ヨットの折り紙よっと

♪音声配信(html5)
朗読者 ; ☆横島小次郎☆

むかし、ある浜に、こんな言い伝えがありました。
到好久以前、一個海灘、有這麼個港法。

『お盆の夜に舟を出すと、あかとりを取られて舟の中へ水を入れられ、おぼれ死にさせられてしまう』
中元節這幾天晚上出海、你鏟水的就會被捏走、然後船又開始進水、最後就過淹死了。

あかとりとは、舟の底にたまった水をくみ出すひしゃくの事です。
鏟水的就是一條瓢、用來幫船底的積水舀出去用的。

年寄りたちはこの言い伝えを守っていましたが、若者たちはそんな言い伝えを信じようとはしません。
一般老頭子都比較迷信這些、但是年輕人不信這些。

「迷信(めいしん)じゃ、迷信じゃ」
肯定是迷信

「魚を取るのに、盆も正月もないわ」
打漁無休、有魚就捕。

そして十人ばかり若者たちが、お盆の迎え火を後に沖へ舟をこぎ出したのです。
有差不多十條年輕人燃完過節的火、就出海打魚去了。

若者たちが沖に出て魚取りのアミを流していると、雲一つなかった星空に突然黒雲が現れて、こちらへと近づいて来ました。
到地方、灑網、天上本來是甚麼都沒(覓)得、現在過一哈烏雲密佈了、還往到這邊靠

「こいつは、まずい事になったぞ」
這哈稀爛

「雨が降り出す前に、引き返すとしよう」
下雨之前快回去啦

若者たちが急いでアミを引き上げていると、黒雲の中から何かが聞こえてきました。
這就又把剛撒的網往上面拉、雲裡面過聽到有那個到港話了。

「まってくれーい」
跟爹定到那裡莫動!

「まってくれーい」
定到啊!

不気味な黒雲は、どんどん近づいてきます。
雲越靠越近了

「おいっ、黒雲が待ってくれと言っているぞ」
喂、那條雲喊我們等他啊

「待ってたまるか! さあ、はやく引き上げろ」
這東西等得啊!快點先幫網子扯上來。

やがて黒雲は海の上に降りてくると、変わった形の船に姿を変えて、海の上を滑る様に走ってきました。
這黑雲就停到海上的、這就變成一條奇形船、開到海水上就過跟滑冰樣的。

「あれは、異国(いこく→外国)の船だぞ」
那是條洋船

「へさきに、竜(りゅう)の首がついとる」
船前面還掛條竜頭

「おう、見ろ。万燈(まとび→東日本で盆に燃やす松明)だ」
看、那船上亮亮的

その船の船べりや甲板(かんぱん)には、たくさんの万燈が明るく輝いていました。
那條船緣和甲板上面燈火全部擺滿了。

万燈の明かりがキラキラと海面に写り、なんともいえない美しさです。
燈火映射到海面好壯觀。

みんなが思わず見とれている間にも、船はどんどん近づいてきます。
這群就看愾(呆)到哪裡的、洋船也是越來越近了。

「妙だな、あの船には誰も乗っておらんぞ」
怪啦、這船上我也覓(沒)看到有人啦

やがて船が手の届くところまで近づいた時、船からうめく様な声が聞こえてきました。
船這就開到連手都摸得到的地方了、裡面喊話的聲音也出來了

「あかとりがほしいー」
「あかとりがほしいー」
鏟水的
我要鏟水的


若者たちは、年寄りたちの言葉を思い出しました。
年輕人這一哈想起的老頭子們交待的事了。

あかとりを取られたら、おぼれ死にさせられてしまう。
只要鏟水的著捏去、那就要被淹死了。

「おい! あかとりを渡してはならんぞ!」
喂!不能幫舀水的跟他過!

「わかった! あかとりを隠せ! 隠せ!」
快點收起來、收起來!

そう叫んだ時、船から万燈が浮き上がり、フワリフワリと飛んで若者たちの舟を取り囲みました。
這邊還到惶恐、船上的那些燈早就飛起來了、飄到飄到已經幫這邊包圍了。

そして一つ一つの万燈から白い手が出てきて、こう言うのです。
這一條燈裡面又出來一條手、開始港話了

「おぼれ死ぬのは、誰じゃー」
今天淹死的是那個

「仲間になるのは、誰じゃー」
那個又是我們的新同伴

そして万燈から出てきた白い手が、一人の若者の顔をなでて言いました。
這燈裡面的鬼手就開始摸其中一條年輕人的臉。

「あかとりをよこさないと、お前から仲間にしてやるぞー」
不交瓢、那就決定是你吶

「うひゃーーーー!」
啊啊啊!

その若者はびっくりして、思わず隠してあったあかとりを海へ投げてしまいました。
年輕人著這一哈搞癲神了、下意識的幫收起來的瓢一哈甩丟到海裡面去了。

すると不思議な事に、海に落ちた一つのあかとりが、何十何百というあかとりに増えたのです。
這一瓢落水、頓化萬千新瓢。

「あかとりだー、あかとりが手に入ったぞー」
瓢、有瓢啦

万燈から出てきた白い手が次々とあかとりを手にすると、海の水をくんで舟の中へ入れ始めました。
所有燈裡面的鬼手這就取瓢幫海裡面的水往船裡面舀。

「助けてくれーっ!」
殺人啦!

「船幽霊だーっ!」
有鬼啊!

「やめてくれーっ! 舟に水を入れないでくれーっ!」
莫舀啊!你們到搞甚麼!

若者たちは泣き叫びましたが、白い手は水を入れるのを止めようとしません。
年輕人的哭喊起不了一點卵用、鬼手該怎麼舀怎麼舀。

このままでは舟が沈んで、若者たちは海に投げ出されてしまいます。
這船就過沈啦、年輕人就都落水了。

その時、浜の方で大きな炎が燃え上がりました。
這時沙灘起了大火

それは浜でたいていた、お盆の迎え火です。
估計就是中元節的火到燒

その迎え火の炎が空高く燃え上がったかと思うと、まっ赤なかたまりになって飛んできました。
這火束頓時凝聚沖天而起、

そして船幽霊の真上に来ると、パチパチッと火の粉をちらしながら叫びました。
這一飛就到鬼船上頭來了、火心子就達達達到炸、他也港話了。

「異国の亡者どもよ。静まれーっ!」
他國的亡靈、安息!

「おれたちは、海で死んだ者じゃ」
我們是海中死靈

「お前らも、海で死んだ者じゃろう」
你們也是吧

「悪さをするでねえ!」
莫在作惡!

「消えるがいい、消えるがいい」
安息安息。

その声を聞くと舟に水を入れていた白い手が万燈の中に引っ込んでいき、フワリフワリと自分の船に戻って行ったのです。
聽到這聲音、鬼手縮回燈中、往自己船上漂了。

そして船いっぱいに万燈をともした異国の船は、キラキラと波に明かりをうつしながら沖へと消えて行きました。
這船也就隨到滿載的燈火到水面上映出輝煌、慢慢不見了去

おしまい
结束

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