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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >十月
空き寺の大入道
破庙的大妖怪
翻訳者 河南省周口師範学院 張美晴
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、旅の僧が村はずれの空き寺へ泊まる事にしました。
很久很久以前,游历的和尚打算在村边的破庙过夜。
その空き寺は屋根が傾き、壁は半分ほど崩れ落ちていて、まるでお化け屋敷です。
那个破庙的屋顶已经塌了,墙壁也坏了一半,就好像鬼屋一样。
(今まで色々な空き寺に泊まってきたが、これはひどいな。まあ、草の上に寝るよりはましか)
(虽然住过许多的破庙,这个也太破了。算了,总比睡在草上强吧。)
僧はクモの巣を払いのけて本堂へ行くと、ほこりだらけの床の上へ横になりました。
和尚扫掉了蜘蛛网,去了正殿,然后在全是灰尘的地上躺了下来。
その晩は空がくもっていて、月も出ていません。
那天晚上天空阴沉,也没有月亮。
風が出てきたらしく、庭の草がザワザワとゆれています。
一起风,庭院里的草就“沙沙”地摇晃起来。
なかなか寝付けない僧は床の上に座りなおすと、ゆっくりお経をとなえはじめました。
怎么都睡不着的和尚坐了起来,缓缓念起了经。
すると床がゆれだし、ミシッ、ミシッという足音が近づいてきます。
这时地板摇晃了起来,“咯吱咯吱”的脚步声一步一步地靠近。
(怪しい気配がする。念の為、用心するか)
(感觉不对劲,慎重起见,还是小心点好。)
僧は荷物の中から煮炊き用の鉄なべを取り出して頭にかぶると、しっかりとつえをにぎりました。
和尚从行李中拿出了做饭的铁锅戴在头上,牢牢地握着手杖。
ふと顔をあげると、目の前に大入道が立っています。
一抬头,眼前站着一个大妖怪。
その大入道の顔には三つの目玉と、大きな二本の歯が生えています。
那个大妖怪的脸上长着三只眼睛和两颗大牙。
大入道は目玉をギラギラ光らせながら僧に近よると、いきなり太い腕を振り上げて僧の頭を叩きました。
眼里闪着光的大妖怪走向和尚,突然抬起粗大的手臂敲了和尚的头。
ガーン!
“咣——!”
頭にかぶった鉄なべが、大きな音を立てました。
头上的铁锅发出巨大的声音。
「なんて、なんてかたい頭だ」
“多么坚硬的头啊”
大入道は鉄なべをかぶっているとも知らず、とても驚いています。
大妖怪不知道和尚戴着铁锅,所以非常吃惊。
僧はつえをつかんだまま、ジッと大入道を見上げました。
和尚就这样抓着手杖,一动不动地抬头看着大妖怪。
すると大入道が、怖い顔で言いました。
于是大妖怪用恐怖的表情说:
「さっさと、出て行け! ここはわしの家だ。ぐずぐずしていると、ひねりつぶすぞ!」
“快点出去!这儿是我家。磨磨蹭蹭的话,就捏碎你!”
しかし僧は逃げるどころか、大きく飛び上がって大入道の頭につえを振り下ろしました。
和尚不但没有逃走,反而大跳起来用手杖从大妖怪的头上打了下去。
「かぁぁぁっ!」
“喝!”
頭を力一杯叩かれた大入道は、
「ギャーッ!」
と、悲鳴をあげると、僧の前にどたりと倒れました。
头被猛击的大妖怪,“啊——”地发出了惨叫,然后“咚”地倒在了和尚面前。
僧は倒れた大入道の頭めがけて、
和尚对着倒下的大妖怪的头
「えい、えい、えい!」
“嘿、嘿、嘿!”
と、何度もつえを打ち下ろしました。
地用手杖打了很多下。
すると大入道の体が見る見る小さくなり、やがて小さな四角い木の板になりました。
于是大妖怪的身体转眼间变小了,变成了一块四角形的小木板。
僧はその板をつかむと、庭に向かって投げつけました。
和尚抓起那块木板,朝庭院扔了出去。
ガシンッ!
咚!
板は庭の大きな石に当たって、二つに割れました。
木板撞上了庭院里的大石头,碎成了两块。
辺りに静けさが戻り、怪しい物が出て来る様子はありません。
周围恢复了平静,不像是有妖怪出现过的样子。
それでも僧は眠る事が出来ず、朝まで床に座ってお経をとなえていました。
即便这样和尚也睡不着,坐在地上念经念到了早上。
夜が明けると、僧は庭に出ました。
天一亮,和尚就来到了庭院里。
「さて、大入道の正体は、一体何者か?」
“那么,大妖怪的真身到底是什么呢?”
僧が昨日の二つに割れた板を調べると、それは使い古した古げたでした。
和尚查看了昨天碎成两块的木板之后,发现那是只用得很旧了的木屐。
「なんと、タベの大入道は、げたのお化けであったか」
“原来昨晚的大妖怪是木屐变的啊”
僧は割れた古げたを本堂のすみに置くと、古げたにお経を唱えて、また旅立って行きました。
和尚把摔碎的旧木屐放到了正殿的角落,给它念了经,又踏上了旅途。
おしまい
結束
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