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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >十一月
11月2日の百物語
しかばねをねらう娘
猎尸女
翻訳者 河南省 周口師範学院 林秀苓
翻訳指導 水口友代
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、雨の降る晩の事、ある山のふもとにあるお寺の戸を叩く者がありました。
很久很久以前,在一个雨夜,某座山的山脚下有一间寺庙,有人在敲门。
「誰じゃ、今頃」
“是谁啊,这么晚了”
和尚さんがしぶしぶ起き出して行くと、そこには長い黒髪の美しい娘が立っていました。
和尚不情愿地起来去开门,门口站着一位有着黑长发的美丽女子。
「はて、どんなご用かな?」
“来了,请问有什么事情吗?”
娘は頭を下げると、和尚さんに言いました。
女子低着头,对和尚说道:
「はい。この間、こちらでとむらっていただいた人のしかばね(→死体)を引き取らせてください。
家で、とむらいをやり直したいのです」
“是的,是这样的,在这边吊唁的尸体请让我把它拿走,我想在家里面重新吊唁。”
娘は静かな口ぶりで言いましたが、その目は赤くらんらんと光り輝いており、娘の体からは動物のにおいがします。
女子平静地开口,她的双眼闪着红色的光。身上散发出了一股动物的味道。
和尚さんはすぐに、この娘は化け物に違いないと思いました。
和尚马上想到,这个女人肯定是妖物所化的。
そこで和尚さんは娘をにらみつけると、怖い顔で言いました。
然后和尚摆出凶狠的表情,瞪着女人。
「いいや、断る。痛い目にあいたくなければ、すぐに立ち去るがよい」
“不了,不用了。别让我再看见你,马上离开这里!”
すると娘も和尚さんをにらみつけて、するどい牙が隠れた口を開いて言いました。
于是女人瞪着和尚,嘴里锋利的牙齿隐隐若现,说道:
「覚えていろ! 近いうちに、必ず仕返しをしてやる!」
“你给我记住,不久之后,我一定会回来报仇的!”
そして娘は、その場から立ち去りました。
之后女人就从那里离开了。
それからしばらくたったある日、村でお葬式がありました。
此后不久,村里有一个葬礼。
和尚さんがお経をあげに行くと、その家のかげに長い黒髪の美しい娘がいて、こちらをじっと見つめています。
和尚去颂念佛经,一个拥有黑色长发的美丽女人站在暗处,一直盯着和尚看。
(顔は多少違うが、あやつはこの間の化け物だな。今日の葬式のしかばねを、お墓に運ぶ途中で奪うつもりか)
(面容多少有一些不一样,应该是之前那个妖怪吧。恐怕打算在送葬的路上抢夺尸体吧。)
和尚さんはお葬式が終わると、お墓へ行く人たちに棺桶(かんおけ)をしっかりとかつがせました。
和尚在葬礼结束后,紧跟着扛棺材的送葬一行人。
お葬式の人たちがお墓へ向かうと、雲一つない青空に黒雲が現れて、雷がとどろくと大粒の雨が降ってきました。
送葬的人向着墓地的地方前进,突然晴空中出现了乌云,轰隆的雷声和大粒的雨滴降临。
黒雲はだんだん空から降りてくると、お葬式の一行を待ち伏せするかの様にお墓へ続く道で止まりました。
乌云渐渐的下降下来,仿佛是在送葬的道路上等待并埋伏着送葬的一行人一样。
(あの黒雲に、化け物がいるに違いない。ちと、こらしめてやるか)
(那片乌云,肯定是妖怪,让我来教训一下你吧!)
和尚さんはお葬式の一行の先頭に立つと、気合いとともに、つえを振り上げました。
和尚站在送葬一行人的前面,大喊一声。将手杖高举起来。
「かぁぁーーっ!」
“喝!”
すると黒雲の中から、何かがどさっと落ちてきました。
于是乌云中好像有什么东西掉了下来。
「なんだ、なんだ」
“那是什么,那是什么”
人々が駆け寄ってみると、それは年を取った大オオカミで死体だったそうです。
人们都跑到跟前去看,只见那里有一个老狼的尸体。
おしまい
結束
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