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1月24日の日本民話
石合戦
徳川家康の子どもの頃の話 → 静岡県の情報
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長い間続いた戦国時代を終わらせて平和な江戸幕府を開いた徳川家康は、子どもの頃から物事を見定める力を持っていました。
これは家康が九才の頃、まだ松平竹千代(まつだいらたけちよ)と呼ばれていた頃のお話しです。
駿府(すんぷ→静岡市)にある、安倍川(あべかわ)の土手で、子どもたちが赤白二組にわかれて石合戦をしていました。
石合戦とは、石を投げ合ってどちらが強いか勝負する事です。
これを見ていた竹千代に、家来の一人がたずねました。
「竹千代さま。どちらが勝つと、思いますか?」
竹千代は赤白両方の組をじっと見つめたまま、しばらく考えました。
「うーむ・・・」
すると別の家来が、竹千代に言いました。
「竹千代さま、赤になさいませ。
赤は百人で、白は五十人です。
むかしから戦とは、数の勝負です。
数の多い赤が、勝つに決まっています」
しかし竹千代は、首を振って言いました。
「いいや。勝つのは白だ」
竹千代が自信ありげに言うので、家来たちはびっくりです。
「竹千代さま、なぜ白が勝つとお思いですか?」
すると竹千代は、家来たちに説明しました。
「確かに数は、赤が多い。
だが、赤の組をよく見てみろ。
赤の組は大勢という事に安心して、半分が遊んでいる。
残りの半分も、さほど真剣に戦おうとはしていない。
一方白の組は数が少ないため、みなが真剣に戦おうとしている。
勝つのは、白の組だ」
「うーむ。そんなものでしょうか」
竹千代の説明を聞いても、家来たちは首をかしげていました。
「合戦、はじめい!」
合図のたいこが鳴りひびいて、石投げがはじまりました。
すると、どうでしょう。
数の少ない白の組がかかんに攻め込み、まさか負ける事はないとのんびりしていた赤の組が、バラバラと逃げ出したのです。
「なんと! 本当に白が勝った!」
家来たちは、竹千代の物事を見定める力に感心しました。
「さすがは、竹千代さま。まだお小さいのに、よくものを見ておられる」
「まこと。このまま大きくなられれば、いつの日か天下を治めるかもしれん」
「いや、きっと天下を治めるだろう」
家来たちの言葉通り、やがて竹千代は天下人となったのです。
おしまい
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