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5月17日の日本民話
金毘羅さんと子ウマ
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むかしむかし、ある村のお百姓(ひゃくしょう)がかっているウマが、子どもを生むことになりました。
これが大変な難産(なんざん)で、子ウマはなかなかうまれません。
母ウマは荒々しい息をして、苦しんでいました。
そこでお百姓(ひゃくしょう)の奥さんは、金毘羅(こんぴら)さんにでかけて、
「母ウマが無事に生んでくれたら、子ウマは神馬(じんめ→神社に奉納するウマ)として金毘羅さんにさしあげます」
と、いのったのです。
そのいのりが通じたのか、やがて子ウマは無事に生まれて、母ウマも元気をとりもどしました。
ところがお百姓の奥さんは、金毘羅さんとの約束をすっかり忘れてしまって、子ウマを他人に売りわたすことにしたのです。
さて、子ウマが買い手にわたる前の日の夜の事です。
子ウマはいつのまにかウマ小屋を出て山をこえ、象頭山(ぞうずさん)にのぼって、お社(やしろ)の前にたたずんでいました。
お宮の人たちは、
「だれがこんなところへ、ウマをおいていったのじゃ。まだ子どものウマではないか」
と、近くの村々におふれをだして、飼い主をさがしました。
それを知った飼い主のお百姓は出向いていって、自分の家まで子ウマをひいて帰りましたが、どうしてあんな所へ行ったのかわかりません。
子ウマを売るのはしばらくやめて、母ウマと一緒にしておきました。
ところが子ウマはまた山をこえて、金毘羅さんのお社にいってしまったのです。
何度も同じことがくり返されるので、不思議に思った神主さんはお百姓にわけをききました。
そのとき、奥さんがウマのお産のときにいのったことを思いだしたのです。
そこで子ウマは、神馬として社につながれることになったという事です。
おしまい