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だいく と みけねこ
(日本昔話)
にほんご ・ えいご ・ はんたい ちゅうごくご ・ かんたい ちゅうごくご
にほんご&えいご ・ にほんご&はんたい ちゅうごくご ・ にほんご&かんたいちゅうごくご
むかしむかし、えど の かんだ に ひとり の だいく が いました。
にょうぼう が しんで、とても さびしかった だいく は、いっぴき の みけねこ を かわいがって いました。
だいく は まいあさ、ねこ の ごはん を ようい して から しごと に でかけます。
そして ゆうがた に しごと が おわる と、ねこ の だいすき な さかな を おみやげ に かって かえります。
ねこ も だいく の こと が だいすき で、だいく の あしおと を きく と、ちゃん と むかえ に でる の でした。
ところ が あるとき、この だいく は め の びょうき に なって しまいました。
そこで、いしゃ に みて もらうと、
「これ は ひどい がんびょう ですな。
ざんねん ですが、とても わしら の ちから では なおす こと は できません」
と、いう の です。
それから は あまり しごと が できなく なり、だいく は とても びんぼう に なりました。
もちろん、ねこ に さかな を かって やる こと も できません。
ある ばん、だいく は ねこ に むかって いいました。
「なあ、みけ や。おれ の め は しろく にごる びょうき で、とても なおり そうも ない。
しごと が できず に くらし も わるく なり、このまま では おまえ を やしなう こと も できん かも しれん。
いったい、どうした もの かのう?」
だいく は かたり かけて いる うち に、うとうと と、ねむって しまいました。
すると ねこ は、その はなし が わかった かの ように、
「ニャー」
と、ちいさく なく と、だいく に すりよって、だいく の め を しきり に なめ はじめた の です。
みぎ の め を なめる と、こんど は ひだり の め を なめます。
それ に きづいた だいく は、
(へん な こと を するわい)
と、おもい ました が、め を なめられる と、とても きもちち が いい ので、ねこ の すきな よう に させて いました。
それから と いうもの、ねこ は ひま さえ あれば、だいく の め を なめて くれた の です。
すると ふしぎ な こと に、だいく の め の にごり は、だんだん と うすれて きました。
そして とおか ばかり たつ と、だいく の め は すっかり なおって、
りょうめ とも とても よく みえる よう に なった の です。
ところ が そのころ から ねこ の め が しろく にごって いき、つい に ねこ の め は みえなく なって しまった のです。
でも、しんぱい する こと は ありません。
め の なおった だいく は め の みえなくなった ねこ を いままで いじょう に かわいがり、
ねこ は なにふじゆう なく しあわせ に だいく と くらした の でした。
おしまい
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