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5月7日の日本の昔話
つばきの花
黒いつばきの花
烏茶花
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「カボスひろし」 大分県産カボスひろしTV
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安著吉四六先生个人,係非常樂線。
さて、国のお殿さまが吉四六さんのうわさを聞いて、家来たちに言いました。
國主聽著吉四六先生个傳言,斯對管家講:
「いくらとんちの名人でも、わしをだます事は出来まい。さっそく、連れてまいれ」
「毋管有幾伶俐个名人乜做毋得騙𠊎。煞煞渡佢過來!」
そこで家来が、吉四六さんを連れて来ました。
所以,管家斯摎吉四六先生渡過來。
吉四六さんが殿さまの前に行くと、殿さまは後ろにある刀を指差して言いました。
吉四六先生行到國主面前時節,國主用手指比等後背个刀仔講︰
「お前はとんちの名人だそうだが、わしをうまくだませたらこの刀をやろう。だが失敗したら、お前の首をもらうぞ」
「聽講你係伶俐个名人,毋過,若係你騙得𠊎著,這支刀仔送你。若係你騙毋著𠊎,𠊎會摎你个頭那斬下來哦。」
それを聞いて、吉四六さんはびっくりです。
吉四六先生聽著,嗄著驚。
「と、とんでもない。殿さまをだますなんて。どうか、お許し下さい」
「無,無這種事情,有麼个騙得著國主,請原諒𠊎。」
吉四六さんは泣きそうな声であやまりましたが、でも殿さまは承知しません。
吉四六先生用像會噭个聲哨,摎國主會失禮,國主還係毋肯原諒。
そこで吉四六さんは、殿さまに言いました。
吉四六先生對國主講:
「わたしには、殿さまをだます事は出来ません。いさぎよく首を切られましょう。だけど首を切られる前に、一つだけお願いがあります」
「對𠊎來講,做毋得騙國主,𠊎分你斬頭較條直。毋過在斬頭之前,𠊎有一隻要求。」
「わかった。言ってみろ」
「好啊,講來聽看啊。」
「実は今朝、わたしの家の庭にまっ黒なつばきの花が咲きました。わたしがこんな事になったのも、縁起の悪い花が咲いたからです。せめてこの花を叩き切ってから、首を切られたいと思います」
「實際上,今晡日朝晨,一蕊烏色个山茶花在𠊎屋下花園肚開了。𠊎會變到恁樣,係因為𠊎屋下開一蕊毋吉祥个花。至少,我想摎這蕊花剪忒後,正分你斬頭。」
「何?まっ黒なつばきの花だと。そんな花が、咲くはずがない。わしをだまそうたって、そうはいかないぞ」
「麼个?係一蕊烏色个山茶花。這種花毋會開花。想愛騙𠊎做毋得哦。」
「いいえ、本当です。うそだとおっしゃるなら、取ってきましょうか?」
「毋係,這係正經个。假使你認為這係耗漦,該仰會毋分𠊎去摘過來呢?」
「よし、すぐに取って来い」
「好啦,黏時去摘來。」
そこで吉四六さんは、急いで家に帰って行きました。
所以,吉四六先生煞煞轉去屋下。
でも黒いつばきの花なんか、どこにも咲いていません。
但係,哪位都尋毋著有烏色山茶花開。
吉四六さんは、そのまま殿さまのところへ戻って、
吉四六先生照原樣倒轉國主該位。講:
「すみません。とても硬い木で、のこぎりやオノでは切れません。どうか、その刀を貸して下さい」
と、言いました。
「當失禮。這頭非常硬个樹仔,無論用鋸仔抑係用斧頭都無法度斬斷。請摎你个刀仔借𠊎。」
すると殿さまは、イライラして、
過後,城主試著煩躁。
「よし、貸してやろう。その代わりにすぐ切り取って来ないと、首をはねるぞ!」
「好啦,拿去。若係你無黏時斬過來,你就會被斬頭哦!」
さて、刀を貸してもらった吉四六さんは大喜びで帰って行き、それっきり殿さまの所へは戻ってはきませんでした。
借著刀仔个吉四六先生非常歡喜走轉去,無再過倒轉國主該位。
次の日、殿さまが怒って家来を吉四六さんの家に行かせると、吉四六さんはすました顔で言いました。
第二日,國主當閼斯喊管家去吉四六先生屋下,吉四六先生詐無事樣講:
「黒いつばきの花なんて、咲くわけないでしょう。約束通り、お殿さまをだまして刀を頂きましたよ」
像該烏色个山茶花,本旦就毋會開花係無。照約定,𠊎欺騙國主,並收著一支刀仔哦。」
それを聞いた殿さまは、
聽著該話个國主講:
「しまった。見事にやられたわ」
「壞忒了,做到恁慶。」
と、怒るにも怒れず、とてもくやしがったそうです。
想發閼又毋敢閼,聽講非常後悔。
おしまい
煞咧
朗読者情報 台湾居住者 Judy
日本で20年の生活を経た後、本国の台湾に戻ったジュディーは日本と台湾の架け橋となり、通訳、翻訳、日本語教師を経験後、現在は日本語を使い、様々な分野の録音に携わっています。
台湾日文配音者です。
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