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5月17日の日本の昔話
月から降った餅
月光頂跌下來个甜粄
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある小さな島に、男の子と女の子が二人で住んでいました。
頭擺頭擺,在某隻細島頂背,有一個細倈仔摎一個細妹仔戴在該。
二人は一日中遊んで、遊び疲れたら眠り、目が覚めたらまた遊ぶという毎日を過ごしていました。
兩儕歸日搞,搞悿了斯睡目,睡醒又去搞。
食べ物は、夜の決まった時間に神さまが月から餅を降らせてくれるので、それを拾って食べればよいのです。
食物,神明會在暗晡頭講定个時間,對月光頂擲粄下來,拈來食就做得。
男の子も女の子も、なぜ月から餅が降ってくるのか考えたこともありません。
細倈仔摎細妹仔都毋識想過,月光頂仰會擲粄下來。
つきたてのやわらかな餅をお腹いっぱい食べて、緑の美しい島をかけまわり、青く輝く海で泳いで暮らす毎日を当たり前のように思っていました。
正做好、軟沁沁个粄食著飽𩜰𩜰,在青里里个細島頂走來走去,藍藍个海肚泅水快樂過日仔,認為這係當然个。
そんな、ある夜の事です。
這恁樣个一暗晡。
いつもの様に月から降ってきた餅を拾って食べていると、ふと、どちらからともなくこんな事を話し合いました。
摎往擺共樣,拈起對月光跌下來个粄食个時節,忽然間,毋知哪位傳來討論從來毋識想過个事情个聲音。
「ねえ、今まで食べきれない餅は捨てていたけど、残しておけばお腹が空いた時に食べられるね。今夜から残しておこうよ」
「噯,頭過,食毋忒个粄拿來㧒㧒忒,若係摎佢留起來,肚枵時節做得食,暗晡夜開始摎佢留起來。」
「そうね。残しておけば、夜に餅を拾わなくてもすむわね。餅の降る時間には、眠たいときもあるもの」
「係哪。若係有留起來,暗晡時無拈乜做得、粄擲下來个時間成時當想睡。」
そこで男の子と女の子は、食べ残した餅を置いておくことにしました。
因為恁樣,細倈仔摎細妹仔摎食伸个粄留下來。
二人はいいことを思いついて、大満足でした。
兩儕想著好主意,感覺非常滿意。
ところが月の神さまは、二人の思いつきが気にいりません。
但係,月娘神明毋中意兩儕个想法。
「毎晩毎晩、必ず餅を降らしてやっているのに、とっておくとは何事だ。神を信じていないのか」
「逐暗晡逐暗晡,𠊎都會擲粄,拈起來留做麼个。你毋相信神係無?」
神さまは、それから餅を降らすのをやめてしまいました。
過後,月娘神明斯停止擲粄。
男の子と女の子は、あわてて月の神さまにお願いしました。
細倈仔摎細妹仔慌慌張去求月娘神明。
「神さま、神さま、月から餅を降らせてください」
「神明,神明,請對月光頂擲粄下來。」
「神さま、お腹が空いて倒れそうです。今までの様に、餅をください」
「神明,𠊎枵了像會橫忒樣。請摎以前共樣賜𠊎粄。」
けれど月から餅が降ってくることは、二度とありませんでした。
毋過,無再過擲粄下來。
男の子と女の子は次の日から海へ出て、貝や魚をとって食べるしかありませんでした。
第二日開始,細倈仔摎細妹仔高不將出海去捉螺、魚仔來食。
もう今までの様に、遊びたいだけ遊ぶ暮らしは出来ないのです。
從今以後做毋得像頭擺恁樣,食飽尞尞飽食了。
二人はお腹が空くことなど知らなかったむかしをなつかしみ、そして初めて神さまに感謝しました。
兩儕當懷念頭過毋知枵个日仔,開始感謝神明。
おしまい
煞咧
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