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6月18日の日本の昔話
釣り舟清次のお札
釣魚船清次个符誥
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかし、江戸の海辺にある古長屋に、清次(せいじ)という漁師が住んでいました。
頭擺頭擺,一個安到清次个漁夫戴在江戶海脣就竹篙屋。
清次は海に乗り合いの釣り舟を出して暮しをたてていましたが、お客のない時は自分で魚を釣って売っていました。
清次摎人共下坐一條釣魚船出海過日仔,但係在無人客个時節,佢會摎自家釣著个魚仔拿去賣。
ある日の事、その日はお客がなかったので、清次は朝早くから沖へ舟を出してキスと言う魚を百匹ばかり釣りあげました。
有一日,無人客,所以清次打早坐船出海,釣著百零條鱚(kisu)魚。
そして、港に帰ってくると、
「ほほう。これは見事なキスじゃな。一匹、おれにくれぬか」
と、えりの立った衣を着た大男が、長いひげをなでながら言いました。
倒轉港口時節,一個高大个細倈仔,著等有領仔个衫,抹等長長个鬚講:
「hohou。恁萋个鱚(kisu)魚。做得分𠊎一尾無?」
「はっ、はい」
「ha,好。」
清次が魚を手渡すと、何と男は大きな口を開けてその魚を生のままパクリと一口で食べてしまったのです。
清次拿一尾魚仔分佢時節,仰會該個細倈仔擘開嘴,完尾魚仔吞落肚。
「・・・!」
「...!」
びっくりした清次がぽかんと口を開けていると、男がたずねました。
發痴驚个清次大嘴開開,細倈仔問佢講:
「お前の名は、何というんじゃ」
「你安到麼个名?」
「はっ、はい。せっ、せっ、清次と申します」
「哦,係。𠊎係清次。」
「そうか。実はわしは、みんなにきらわれておる疫病神(やくびょうがみ)だ。
「係無?事實上,𠊎係逐個人都當惱个瘟神。
だがお前は、そんなわしに親切にしてくれた。
毋過你對𠊎恁好意。
こんな事は、初めてだ。
這種情形𠊎係第一擺堵著。
魚をもらった礼に、良い事を教えてやろう。
為了報答你送魚仔分𠊎,𠊎會教你好空个事情。
よく聞いておけよ。
聽好哦。
『釣り舟 清次』と書いた紙を家の戸口に貼っておけば、わしはその家には決して入らないし、もし入っていてもすぐに出て行くだろう」
假使你在屋下門口貼張寫等『釣魚船 清次』个紙,𠊎絕對毋會落去該間屋,準講𠊎落去,𠊎乜黏時退出去。」
「ほっ、本当ですか!ありがとうございます」
「ho24,正經!承蒙你。」
疫病神が決して来ないなんて、こんな良い事はありません。
瘟神永久毋會來,這無係當好个事。
清次が頭を深々と下げると、疫病神はもうどこにもいませんでした。
清次深深低下頭行禮時節,瘟神毋知走哪去了。
家に帰った清次は、さっそくこの不思議な話を家族や長屋の人たちにしました。
轉到屋个清次,煞煞摎這奇怪个事情講分屋下人還有竹篙屋个人聽。
それからしばらくたった、ある日の事です。
過後無幾久,有一日。
長屋の奥に住む藤八(とうはち)のおかみさんが、はやり病にかかって苦しみ出したのです。
戴在竹篙屋裡肚个藤八夫人著著流行病非常痛苦。
藤八は清次の話を思い出すとすぐに清次の家に行って、『釣り舟清次』と紙に書いてくれと頼みました。
藤八想起清次个話,遽遽去清次屋下,拜託佢寫張『釣魚船 清次』个紙。」
そしてその紙を自分の家の戸口に貼り付けると、不思議な事におかみさんの病はすでに治っていたのです。
拿轉去貼在屋下門口後,當奇怪夫人个病好忒了。
「清次さんよ、わしにも書いておくれ」
「清次先生,寫一張分𠊎。」
「わたしにも書いてくだされ。お金なら、たんと払いますので」
「請寫一張分𠊎,愛幾多錢𠊎分你。」
うわさを聞いた人たちが、ひっきりなしに清次の家へやって来るようになりました。
聽著風聲个人弛崗打陣來到清次屋下。
それから清次は釣り舟を出すのをやめて、毎日毎日『釣り舟清次』という字を紙に書いて、疫病除けのお札をつくるようになったという事です。
從該以後,釣魚船毋使出海釣魚仔了,逐日寫『釣魚船 清次』,準做防疫个符誥。
おしまい
煞咧
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