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9月20日の日本の昔話
かなシイ木と、うれシイ木
衰過(kanashii)樹摎歡喜(ureshii)樹
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもとんちの出来る人がいました。
頭擺頭擺,有一個人安到吉四六先生个人,非常伶俐。
ある年のお正月の事です。
某年新春發生个事。
吉四六さんは村人たちと一緒に、山ヘたきぎを取りに行きました。
吉四六先生摎村民共下去山頂撿樵。
その山には、しいの木(→ブナ科の常緑高木)がたくさん生えています。
山頂上生當多椎(shii)樹(山毛櫸科常綠喬木)。
村人たちは、せっせと木の枝を落とし、それを束ねてたきぎを作っていきました。
村民盡命牯摎樹桍剁下來,綑起來做樵捆。
ところが吉四六さんは大きな木の根っこに腰をかけて、のんびりとタバコをふかしています。
但係,吉四六先生坐在一叢大樹个樹根頂,閒閒在該㗘煙。
また、何かとんちを考えているのでしょうか?
還又,在該想空想缺係無?
そのうちに、村人たちはたくさんたきぎを取ったので、
該下,該兜村民因為撿了當多樵,
「さあ、そろそろ帰ろうか?」
「好了,愛煞煞來去轉無?」
「そうだな。これくらいあればいいだろう」
「係哪,這恁多罅擺了。」
と、取ったたきぎを背中に背負って、帰ろうとしました。
摎撿著个樵背等斯想愛轉。
それを見ていた吉四六さんが、村人たちに声をかけました。
看著該个吉四六先生大聲摎村民講︰
「おいおい、お前さんたち。そんな物を、かついで帰る気かい?」
「噯,噯,你兜,像形想愛摎該兜東西㧡轉去樣?」
すると村人たちは、おどろいて尋ねました。
過後,村民著驚問講:
えっ?そんな物って、どういう事だ?」
「e24?你講該兜東西係麼个意思?」
「だって、そのたきぎは、しいの木ばかりじゃないか」
「因為該樵全係椎(shii)樹。」
「そうだよ。それがいけないのか?」
「係哊,該做毋得係無?」
村人は、不思議そうに尋ねました。
村民感覺當奇怪,問講:
すると吉四六さんは、こう言いました。
過後,吉四六先生講:
「いけないのなんのって、しいの木は『かなしい』と言って、とても縁起の悪い木だ。
「當然做毋得,因為椎(shii)樹係『衰過(kanashii)』係非常毋吉祥个樹仔。
おまけに今は、お正月じゃないか。
另外,這下毋係新正年時咩?
こんなめでたい時に、何だって『かなしい』木をたくさん家へ持って帰るんだろうね」
恁歡喜个日仔,仰愛㧡恁多『衰過(kanashii)』樹轉屋下呢。」
それを聞いた村人たちは、顔を見合わせると、
聽到該个村民你看𠊎𠊎看你,
「へえ、それは知らなかった。
なるほど、確かにめでたいお正月に『かなしい』木なんぞ持って帰ったら、女房や子どもが可愛そうだな」
「he24,毋識聽過。
當然,若係新正年時㧡恁多『衰過(kanashii)』樹轉屋下,對餔娘細仔來講實在衰過哪。」
と、せっかく集めたたきぎをそこらへ放り出して、また別の木を切り始めました。
過後,摎辛辛苦苦撿著个樵㧒㧒忒,開始斬別種樹仔。
「へっへっへ。しめしめ」
「he he he,還好哪!」
吉四六さんは、みんなが放り出したたきぎを集めて山ほど背中に背負うと、
吉四六先生摎全部分佢兜㧒忒个樵收收起來,背等像山恁高。
「それじゃ、みなさん。お先に帰らしてもらいますよ」
「大家,𠊎先來去轉。」
と、一人でさっさと帰ろうとしました。
一個人斯轉去了。
村人たちは、びっくりして、
該兜村民著驚。
「おいおい、吉四六さん。お前、そのしいの木のたきぎは『かなしい』と言って、とても縁起が悪いって言ったじゃないか」
「噯,噯,吉四六先生,你講該兜椎樹(shii)係『衰過(kanashii)』樹,毋係非常毋吉祥嘎?」
「そうだよ。そんな物をかついで、どうするつもりだ?」
と、々に言いました。
其他人又講:「係哊,你㧡該兜東西按算愛做麼个?」
すると吉四六さんは、すました顔で言いました。
過後,吉四六先生笑咪咪講:
「いやいや、このしいの木は、『うれしい』と言ってな、とても縁起が良い物なんだ。
「毋係,毋係,這兜椎樹(shii)係講:『歡喜(ureshii)』當好彩个東西。
まして今は、お正月じゃないか。
何況,這下毋係新正年時嘎?
こんな縁起の良い事があるもんか」
毋係當好彩个事?」
それを聞いた村人たちは、
聽著个該兜村民講︰
「しまった。またしても、吉四六さんにやられたわ」
「失禮,又一擺輸分吉四六先生。」
と、くやしがったそうです。
像形盡後悔樣。
おしまい
煞咧
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