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9月26日の日本の昔話
山鳥の恩返し
鳥仔報恩
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるところに、弥助(やすけ)という親孝行の若者がいました。
頭擺頭擺,有一個安到彌助个後生人,盡賢孝,戴在某所在。
とても働き者ですが、どうしたわけか家はひどい貧乏でした。
佢係非常煞猛个人,但係,毋知麼个原因屋下總係恁窮苦。
ある年の暮れ、弥助はわずかなお金を持って、お正月の買い物に町へ出かけて行きました。
某一年年尾,彌助帶等佢伸著个一點錢,去街路辦年貨。
すると道ばたで、何かバタバタと暴れているものがあります。
在半路个路脣,無知麼个東西pied2 pied2滾在該奮。
(なんだろう?)
(麼个東西?)
弥助が近づくと、一羽の山鳥がわなにかかってもがいていたのでした。
彌助偎兼去看時節,一隻鳥仔在陷阱肚奮。
「よしよし。わしが助けてあげよう」
「好了好了,𠊎會救你。」
弥助が山鳥の足にまきついているひもをほどいてやると、山鳥はうれしそうに空へ飛び立ち、そのまま山の向こうへ飛んで行きました。
彌助摎纏在鳥仔腳頂背个索仔解開後,鳥仔當歡喜樣飛去天頂,飛到對門山。
よかったな。これからは、気をつけて暮らせよ。・・・しかし、この鳥わなをどうしようか?」
還好哪,以後愛小心兜過日仔,...毋過,這隻陷阱仰般來處理呢?
弥助は、わなを仕掛けた人にすまないと思って、買い物に行くわずかなお金を全部、山鳥のかわりにわなのところへ置いたのです。
彌助想,對毋起設陷阱个人,摎佢按算愛買東西个錢,總下放在陷阱裡肚斗換鳥仔。
しかしこれでは、買い物に行けません。
因為恁樣,就無法度去街路辦年貨。
「しかたがない。家にもどろう」
「無法度,來去轉好啦。」
弥助は手ぶらで家にもどると、お母さんに今日の事を話してあやまりました。
彌助兩手空空轉到屋下後,摎今晡日發生个事情講分阿姆聽。
でもやさしいお母さんは文句を言うどころか、弥助のしたことをほめてくれました。
善良个哀仔毋單淨無怪怨,顛倒阿𧩣彌助。
「それは、いい事をしたね。今ごろ山鳥も、親のところでほっとしているだろうよ」
「該係做好事呢,這下鳥仔乜在厥爺哀該位歡歡喜喜共下哦。」
「ごめんよ。おら、もっと一生懸命働いて、来年はきっといいお正月にするから」
「失禮哦,𠊎會煞猛做事,明年定著分你過隻好年。」
「なんのなんの。こうして二人とも無事でお正月を迎えられるだけでいいんだよ」
「麼个麼个,俚兩儕做得平平安安過新年就好了。」
こうしてお母さんと弥助は、雪の降るさみしいお正月をすごしていました。
斯恁樣兩子哀過一隻落雪、孤栖个新年。
するとそこへ、美しい娘さんがやってきて、
過後,一個當靚个細妹仔行過來、講︰
「わたしは、旅の者です。雪に降られて、困っています。どうか、今夜一晩泊めてください」
と、言うのです。
「𠊎係出來旅行个旅客,堵著落雪,分佢困著,想愛借歇一暗晡。」
「まあ、それはお気の毒に。こんなところでよかったら、どうぞどうぞ」
「唉哦,還衰過,你若無棄嫌,請落來。」
お母さんも弥助もにこにこして、娘さんをいろりのそばに座らせてあげました。
兩子哀都笑咪咪,請細妹仔坐在地爐脣。
見れば見るほどきれいで、それにとても心のやさしい娘さんでした。
係一個越看越靚,還過心肝當善良个細妹仔。
お母さんと弥助は、この娘さんがすっかり気に入りました。
兩子哀當中意這個細妹仔。
娘さんも、この二人が好きになって、
細妹仔乜中意這兩子哀,講︰
「どんなことでもしますから、春になるまでここで働かせてください」
と、言いました。
「麼个事情都會做,春天以前請你分𠊎在這做事。」
「それなら、弥助のお嫁さんになって、ずっとここにいてくれないかい?」
「若係恁樣,嫁分彌助做餔娘,一直留下來做得無?」
娘さんは顔を赤くすると、
細妹仔嗄面紅濟炸。
「・・・はい」
と、恥ずかしそうにうなずきました。
盡見笑樣頷頭,應講︰「・・・好。」
弥助もお母さんも、大喜びです。
彌助摎哀仔非常歡喜。
そこで娘さんをお嫁さんにして、親子三人仲良く暮すことになりました。
所以細妹仔斯嫁分彌助,三儕人感情當好共下過日仔。
お嫁さんになった娘さんは、本当に働き者でした。
嫁分彌助个細妹仔,正經係煞猛个人。
家の仕事から山の仕事まで、とてもよく働いてくれます。
家務、耕種、四頭四尾項項都當會做。
相変わらず貧しいのですが、幸せな毎日が続きました。
雖然本本恁苦,毋過逐日過著當幸福。
それから、何年かすぎた時です。
過了幾年以後,
近くの山に悪い鬼が現れて、村を荒らしまわるようになりました。
就近山頂出現惡鬼,走來村莊作亂。
そこで都から強い侍が、鬼退治にやってきました。
所以,京城一個當勇个武士,愛來收拾惡鬼。
弓の上手な弥助も、侍のお供にくわえられました。
盡會射箭个彌助,乜加入武士隊伍。
でも、いくら弓が上手でも、鬼には勝てそうもありません。
毋過,不管幾會射箭,都無法度打贏惡鬼。
するとお嫁さんが、そっと弥助をよんで言いました。
餔娘偷偷喊佢過來摎佢講︰
「鬼を退治するには、ただの矢では無理でしょう。でも、山鳥の尻尾の羽をつけている矢なら、倒す事が出来ます。わたしがその羽を、用意しましょう。・・・わたしは、あなたに助けてもらった山鳥です」
愛收拾惡鬼無可能單淨用普通个箭,若係摎鳥仔尾个毛鬥在箭頂高,斯會打贏鬼,𠊎來準備該毛,・・・𠊎就係你頭過救過个鳥仔。
そう言うと、お嫁さんは山鳥の姿に戻って、尻尾の羽を残すと空へと飛び立ちました。
講煞,餔娘變轉鳥仔,留下尾个毛飛到天頂去了。
そして何度も何度も家の上を回っていましたが、やがて山の向こうへ消えていきました。
在屋下个屋頂捩幾下輪,無幾久飛去山頂去了。
弥助は、その羽を矢につけました。
彌助摎鳥仔尾个毛鬥在箭頂高。
そして弥助の放った矢は、たった一本で鬼を倒したのです。
過後,彌助射出个箭,斯射一支就摎鬼打橫了。
喜んだ侍は、弥助にたくさんのほうびをくれました。
歡喜个武士,拿當多獎品賞彌助。
そのほうびのおかげで、弥助もお母さんもお金持ちになりました。
打幫該兜獎品,彌助摎厥姆乜變有錢人。
でも二人とも山鳥の姿を見るたびに、あのやさしい娘ではないかと思い、
兩儕逐擺看著鳥仔个時節,都想,會係該隻好心个細妹仔無?
「帰っておいで、帰っておいで」
と、涙を流しながら呼びかけたそうです。
「轉來啦,轉來啦。」
噭襤濕褸大聲喊。
おしまい
煞咧
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