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2月6日の小話
夜の暗いところ
むかしはどこも道が悪かったので、人通りの多いところはいつも大勢の人夫(にんぷ→公共事業にかりだされた労働者)たちが集められて、道作りをしていました。
そこへ行灯(あんどん→むかしの照明)を山の様に詰め込んだ荷車が、何台も何台も次々と通り過ぎて行きました。
「うひゃーっ! これはまた、ものすごい数の行灯だな!」
人夫たちが仕事の手を休めて見送っていますと、またまた行灯を山の様に詰め込んだ荷車が、何台も何台も通り過ぎて行きました。
「こいつは驚いた。それにしてもあんなにたくさんの行灯を、いったいどうするのかな?」
人夫たちが不思議そうに見送っていると、後ろで見ていた、まぬけの文吉が、知ったかぶって言いました。
「決まっているだろう。あんなにたくさんの行灯が必要なのは、あの人たちが、よっぽど夜の暗いところに住んでいるからさ」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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