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11月19日の小話
怒る男
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投稿者 「フー」 ハーリ・クィン朗読館
ある時、まぬけな太郎吉(たろうきち)が、友だちに言いました。
「家の隣の八兵衛(はちべえ)は『めったに腹を立てたりしない、がまん強い男だ』と、みんなが言っているが、あれはうそじゃ」
すると友だちが、
「いやいや、あの男は本当にがまん強い男で、めったに怒ったりはしない気のやさしい男さ」
と、言うので、まぬけな太郎吉は、大まじめな顔をしていいました。
「でも昨日、八兵衛が昼寝をしていたので、本当に怒ったりしないがまん強い男かどうかをためしたんだ」
「へえ、どうやって?」
「なあに、ほんの米粒ほどの小さな炭火のかけらを、あいつの耳の中に落としてやったのさ。そしたらあいつ、目の色を変えて怒り出したぞ。うわさとは違って、あいつは怒りっぽい男だ」
「そら、誰でも怒るわ」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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