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9月22日の日本民話
福済寺(ふくさいじ)の地蔵尊(じぞうそん)
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むかしむかし、長崎の町に、とてもひどい流行病が広まりました。
それにかかると高熱が何日も続いて、体中に紫のはん点が出来て、そして苦しみながら死んでいくのです。
おそろしい事に、この病は病人から家族へ、家族から近所の人へ、近所の人から町中へと広がっていきました。
そのために毎日、町のどこかで葬式がありました。
ある晩の事、町に住む太一(たいち)という男が不思議な夢を見ました。
一体のお地蔵さまが、太一の枕元に立って、
「わしは、浦上川(うらがみがわ)に捨てられておる石地蔵じゃ。長い間、わしは捨てられたまま。もしわしを拾ってくれて、まつってくれるなら、町の病をなくしてやろう」
と、言ったのです。
次の日、太一は半信半疑で、浦上川へ行ってみました。
「本当に、あるのかな?」
川に入ってあたりを探してみると、本当に夢枕に立った石のお地蔵さまが捨てられているではありませんか。
「これだ!」
太一は、さっそくお地蔵さまを家に持って帰ると、ていねいにおまつりしました。
するとその日から、町の流行病が消えていったのです。
「よし、これで一安心だ」
しかしそうなってくると、太一はお地蔵さまのおまつりをしなくなったのです。
するとまた、病気になる人が増えてきました。
「これは、きちんとしたお寺にまつった方がいいだろう」
こうしてお地蔵さまは近くの福済寺(ふくさいじ)というお寺に安置され、それ以来、流行病はうそのようになくなったのでした。
今でも町の人々はこのお地蔵さまの御利益(ごりやく)に感謝して、毎年四月二十四日に盛大なお祭りをするそうです。
おしまい
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