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11月2日の日本民話
たましいが入った竜
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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人もぐっすり眠れる朗読】心あたたまる龍の昔話集 元NHKフリーアナ
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投稿者 「あーる」 【眠れる朗読】
むかしむかし、宇都宮(うつのみや)に、うるし商人の武太夫(たけだゆう)という男がいました。
武太夫は大金持ちでしたが、それにはわけがありました。
数年前のある日、山奥の谷川のふちの底に、大量のうるしを見つけたのです。
うるしは、うるしの木の皮から取れる汁で、おわんなどのぬり物に使われます。
そのうるしが長いあいだ水に運ばれて、ふちの底にたまったのです。
うるしは高価な物で無断で取る事を禁じられていましたが、武太夫はこの谷川の底のうるしを少しずつ売り大金持ちになったのです。
武太夫は秘密のうるしを、いつまでも自分だけのものにしておきたいと思いました。
それで腕の良い細工師(さいくし)に恐ろしい竜の細工をつくらせて、人が怖がってよりつかないように、うるしのあるふちの底に沈めたのでした。
しばらくすると竜の細工は上流から流れてくるうるしや水あかなどがついて、本物の竜のようになっていました。
ある時、武太夫は十四歳になる一人息子の武助(たけすけ)を連れて、山奥のふちへ行きました。
そして、うるしの秘密を話すと、
「このうるしは、わしらだけの物じゃ。わざわざ木を切りつけて汁を取らなくても、いくらでもここへたまっておる。いいか、わしがするのをよく見て、うるし取りの練習をするんだぞ」
武太夫は息子にいいきかせて、親子でふちへ入っていきました。
すると竜の細工が、とつぜん頭を動かしたのです。
「おとう! 竜が! 竜が動いた!」
「何を馬鹿な。水の動きで、そう見えるだけだ」
と、
武太夫は言ったものの、見てみると竜が大きな口を開けて息子に襲いかかったのです。
細工の竜は水の中にいるうちに魂が入って、いつしか本物の竜になっていたのです。
あわてた武太夫は息子を助けようとしましたが、竜が相手ではどうにもなりません。
「武助ー!」
「おとうー!」
やがてふちの水の上に、二つの死体が浮かびあがって下流へ流れていきました。
二人の死体は二日目になって、村に近い川原で引き上げられました。
取り調べの結果、武太夫はうるしの盗み取りをしていた事がわかりました。
そして罰(ばつ)として新しく建てたばかりの家や財産は、全て取り上げられてしまったのです。
あとに残された武太夫の父親と奥さんは、とても貧しい生活を送ったという事です。
おしまい
※ 宮城県にも、同じような民話があります。 → 生きている竜
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「11月13日 うるしの日」について (366日への旅)より
記念日イメージキャラ 福ちゃん イラスト「ぺんた」 ※無断転載禁止
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