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12月2日の日本民話

けものたちの、ないしょの話

人魚が教えてくれた秘密
沖縄県の民話沖縄県情報

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♪音声配信(html5)
朗読者 : 東海ラジオ 開治小学校 編

 むかしむかし、仕事の終わった若者たちが浜辺でお酒を飲んでいると、海から美しい歌声が聞こえてきました。
 ♪〜♪〜〜〜♪
「いったい、誰が歌っているのだろう?」
 若者たちは海に船を探しましたが、海には船はありません。
 でも確かに、歌声は海から聞こえてくるのです。
 ♪〜♪〜〜〜♪
 若者たちはお酒を飲むのもわすれて、その歌声に聞きほれていました。

 それから数日後、若者たちが海へ魚を取るアミを入れると、なんと人魚がかかったのです。
 この海にはむかしから、人魚が住んでいるとうわさされていました。
「人魚は、本当にいたんだ」
「こいつを売れば、大もうけが出来るぞ」
 若者たちは、大喜びです。
 すると人魚が、なみだをこぼして言いました。
「お願いです。どうかこのまま、海へかえしてください」
「いや、逃がすわけにはいかん。お前ならきっと、高く売れるからな」
「それに人魚の肉は、不老長寿の薬だというし」
「・・・・・・」
 人魚はなみだをふくと、しずかに歌をうたいはじめました。
 ♪〜♪〜〜〜♪
 なんとその歌声は、いつか浜辺で聞いたものと同じです。
「あれは、お前が歌っていたのか」
 人魚の歌声には、人をあやつる力があります。
 若者たちは人魚の歌声を聞いて、うっとりと夢を見ているような気持ちになりました。
 やがて歌い終わると、人魚が言いました。
「もし、わたしを助けてくださるのなら、海の秘密を教えてあげます」
 人魚の歌を聞いて心がおだやかになった若者たちは、人魚に言いました。
「わかった。助けてあげよう」
「ありがとうございます」
 人魚はうれしそうにニッコリ笑うと、船から海に飛び込んで言いました。
「明日の朝に、大津波(おおつなみ)が村をおそいます。出来るだけはやく、高いところに逃げてください」
 それを聞いた若者たちは、村人たちに人魚の言葉を知らせに行きました。

 若者たちの村人たちはみんな人魚を信じていたので、すぐに荷物をまとめると山へひなんしました。
「よし、まだ時間があるから、他の村にも知らせてやろう」
 若者たちは手分けをして、ほかの村にも人魚の言葉を知らせに行きました。
 しかしほかの村人は人魚を信じていないので、誰も若者たちの言葉に耳を貸しません。
「何をばかな事を。人魚なんて、いるはずないだろう」
「本当なんだ。本当に人魚はいて、朝に大津波が来ると言ったんだ!」
「いいかげんにしないか! こんな夜中に、人騒がせな!」
 もうすぐ、夜明けです。
 若者たちは仕方なく、山の上へ逃げて行きました。
 そして間もなく、人魚の言った通りに誰も見た事がないような大津波がおそってきて、浜辺の村々をあっという間に海へ引きずり込んでしまったのです。

 この大津波で多くの人が死んでしまいましたが、若者たちの村人は人魚を信じてひなんしたため、誰一人死んだ者はいなかったという事です。

おしまい

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