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4月15日の日本民話 2
殿さまは物知らず
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むかしむかし、ある殿さまが数人の家来を連れて、自分の領地(りょうち)の見回りに行きました。
お百姓(ひゃくしょう)たちは殿さまが見回りに来ているなんて知らないので、こえだめから下ごえをくみ出して、それを作物の間にかけていました。
そのにおいがあまりにもくさいので、殿さまは鼻をつまんでたずねました。
「わぁっ、なんじゃ、このひどいにおいは? あれは、何をしておるんじゃ?」
「はっ、おそれながら、あれは下ごえと申しまして、人の小便や大便をこえだめで腐らせて、畑にかけているのでございます。そうすると野菜が、おいしくなるのだそうでござります」
「なんと。それではわしが食べる野菜も、そうしておるのか?」
「はっ、まことにおそれながら」
「汚いのう。いくらおいしくなると言っても、あんな物をかけていたとは。・・・いいか、この先わしが食べる物には、あのような物を決してかけるでないぞ」
それからしばらくして、こやしをかけずに作った野菜が殿さまに出されました。
すると殿さまは、一口食べて、
「おや? どうも、いつものようなうまさがないが?」
と、言うのです。
家来がわけを話すと、殿さまは家来に野菜の入ったうつわを突き出して、
「こうもまずいとはな。・・・仕方がない、これへ、下ごえとやらをかけてきてくれ」
と、言ったそうです。
おしまい
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