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 4月15日の小話
 
 こやしとおもう
 ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
 
 投稿者 「フー」  ハーリ・クィン朗読館
  ある武士が、田舎道を歩いていました。「ああ、疲れたわい」
 武士が一休みをしていると、ちょうどそこへウマを引いたお百姓が通りかかったので、武士はそのお百姓のウマに乗せてもらうことにしました。
 しばらくいくと、武士はむしょうにお腹が痛くなって、
 「プウー、プウー」
 と、おならをしてしまいました。
 そのおならのくさい事。
 お百姓はあまりの臭さに、鼻をつまみながら言いました。
 「お前さまは、ウマの事を馬頭観音(ばとうかんのん→馬の保護神として、特に江戸時代に広く信仰された観音様)というのを知っておいでか。
 その観音さまに、へをひっかけるとは」
 すると武士は、
 「なるほど、それもそうじゃ。
 いや、申し訳ない。
 ・・・しかし、その観音さまに、なぜ、ふん尿の入ったこえおけ(→肥料を運ぶためのおけの事)をつけるのだ?」
 と、言い返しました。
 「それは・・・」
 返答に困った百姓は、くやしまぎれに言いました。
 「では、くさいお前さまを、こやしだと思って乗せて行きましょうぞ」
 ♪ちゃんちゃん(おしまい)
  
 
 
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