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6月2日の日本民話 2

鬼と長芋

鬼と長芋
群馬県の民話群馬県の情報

♪音声配信(html5)
朗読者 : おはなしや

 むかしむかし、あるところに、鬼の住む山がありました。
「ああ、腹が減ったな。どれ、今日は久しぶりに人間でも食おうか」
 鬼はそう言うと、人間を食べるために人里までおりてきました。

 そして、どの人間を食べようかと、ある家の窓から中の様子を見てみると、家の人が夕飯のおかずに、長芋をすりおろしていたのです。
 それを見た鬼は、
「なっ、何て事だ! ここの人間は鬼の角をすりおろしているぞ!」
と、びっくりして、慌てて山へ帰って行きました。

 そして山へ戻ると、鬼は考えました。
「しかし人間とは、見かけによらず力持ちなのだな。こんな固い鬼の角を、簡単にすりおろすとは。・・・いや、人間に出来る事が、わしら鬼に出来ないはずがない」
 鬼はそう思って、自分の角をほんの少しへし折ると、試しにすりばちですってみました。
 しかし鬼の角は固くて、少しもする事が出来ません。
「なんて事だ。どうやってもする事が出来んぞ。人間どもは、どうしてこんな固い物を、簡単にすりおろす事が出来るのだ」
 鬼はもう一度里へおりていって、さっきの家をのぞいてみました。
 すると、その家では夕飯を食べており、さっきすりおろした長芋をご飯にかけて、おいしそうに食べているではありませんか。
「あわわわ。何て事だ。鬼の角をうまそうに食べていやがる。このままでは人間を食うどころか、わしら鬼の方が人間に食われてしまうぞ」
 鬼は山奥へ逃げていくと、二度と人間の前に姿を現さなかったそうです。

おしまい

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