福娘童話集 > 日本の民話 2 福娘童話集 きょうの日本民話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集


福娘童話集 > 日本の民話 その2 > 6月の日本民話

6月26日の日本民話 2

大力自慢のシイの失敗

大力自慢のシイの失敗
福井県の民話福井県情報

 むかしむかし、若狭(わかさ)と丹後(たんご)の国境いにある染ヶ谷(しみがたん)という小さな部落に、シイという名の、少し頭の弱い力自慢がいました。
 ある時、十八里も離れた京都にいこうと思ったシイは、さっそく血坂道(ちさかみち)といわれる急な坂道を、苦もなくのぼりはじめたのです。
 やがて峠につくと、そこに名高い石のお地蔵さんがありました。
「地蔵さんか」
 シイは、このお地蔵さんをかついで京都に行って、みんなをおどろかせようと思いました。
 そして上機嫌で大きな石のお地蔵さんを軽々とかつぎあげると、急な坂道を下っていきました。
 しばらくして矢原(やはら)という村についたシイは、はじめに出会った村人に、若狭から京都までの道のりをたずねました。
 すると村人は、
「若狭から京都までは、十八里はあるよ」
と、答えたので、シイは、
「なんだ、まだ十八里もあるのか」
と、重いお地蔵さんをかつぎなおして歩いていきました。
 次の宿場でも道行く人にも、若狭から京都までの道のりを聞くと、さっきと同じように、
「若狭から京都までは、十八里はあるぞ」
と、答えます。
 それからも何度か、通りすがりの人に若狭から京都までの道のりを聞いたのですが、やはりみんな口をそろえたように、
「若狭から京都までは、十八里はある」
と、言うばかりです。
「何だ何だ、ずっと歩いてきたのに、なんでまだ十八里もあるのだ!」
 さすがのシイも、腹が立ってきました。
 本当なら、『京都までは、あと何里あるのか?』と、尋ねなければならないのですが、少しばかり頭の足りないシイには、自分の尋ね方が間違っている事など、わかるはずもありません。
 だからいつまで歩いても同じ里数を歩かされるのは、この石のお地蔵さんのせいだと思い込んで、
「ええい、もう京都に行くのはやめた!」
と、もときた道を染ヶ谷へと戻っていきました。

おしまい

前のページへ戻る

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ