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12月3日の日本民話 2
元取り山
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むかしむかし、富山県砺波市(とやまけんとなみし)のある山の山肌に、ぽっかりと口を開いた洞窟がありました。
近くの村人たちは法事や結婚式で使う、お膳が足りなくなると、この洞窟へとやって来て洞窟の入口に足りないお膳の数を紙に書いて貼りつけます。
すると翌日には、欲しい数のお膳がそろっているのです。
ある時、村の男がお膳を借りて、そのまま返さずにいました。
するとそれからは村人たちが洞窟に張り紙をしても、お膳が出て来なくなったのです。
「これはきっと、誰かがお膳を返さなかったからだろう」
村人たちは犯人を探しましたが、どうしても見つかりません。
「まあ、悪い事をすればバチがあたるからな。そのうちバチがあたって、お膳を返さない犯人が見つかるだろう」
村人たちはそう言って、犯人を捜すのをあきらめました。
ところが犯人の男の家では、バチがあたるどころか良い事ばかりが続いたのです。
まずは、長い事めぐまれなかった跡取り息子が生れました。
そして米も野菜も、いつもの年よりずっとたくさんとれました。
その豊作は五年も続き、男の家はすっかりお金持ちになったのです。
でも、やっと生まれた息子は五歳になっても、歩く事もしゃべる事も出来ませんでした。
ある日の事、歩けないはずの息子が急に立ち上がると、驚く家の人たちの前で新米をつめた重たい米俵を両肩にひょいとかつぎ、そのまま家から出て行ってしまったのです。
心配した家族があとをつけてみると、息子の足跡はお膳を貸してくれる洞窟の奥へと続いています。
洞窟の奥から、誰かの声が聞こえてきました。
「米二俵もあれば、お膳の元が取れるだろう」
なんと、息子が授かったのも男の家が豊作続きだったのも、みんな、洞窟の主がお膳の元を取るためにした事だったのです。
やがて息子は帰ってきましたが、男の家の豊作はその年で終わってしまいました。
それから人々はこの山の事を『元取り山』と呼ぶようになったそうです。
おしまい
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