7月21日の世界の昔話
むかしむかし、ある家のテーブルの上に、二本のロウソクが置かれていました。 一本は蜜蝋(みつろう)と言って、とても高価で上等なロウソクでした。 「ぼくは、ほかのロウソクよりも格好良くて、しかもずっと明るく光るんだ。だからきっと、銀のロウソク立てに置かれるよ」 安物のロウソクを手に取ると台所に持って行きました。 (やっぱり) そのかごの中にはたくさんのジャガイモと、いくつかリンゴが入っています。 「さあ、このロウソクも持って行きなさい。あなたのお母さんは夜遅くまでお仕事をなさるでしょうから、これが役に立ちますよ」 「あら、わたしだって夜遅くまで起きているわ。 「わあ。何て可愛い子だろう」 蜜蝋くんは、きっと女の子とダンスパーティーを楽しむのだろうけど、ぼくは貧しい家にもらわれていくのだから」 この家のお父さんはもう死んでしまって、お母さんがぬい物をしながら三人の子どもを育てていました。 「まあ、いいロウソクをいただいて」 安物のロウソクに火をつけました。 その時、この家の一番下の女の子が入ってきました。 「あのね、問題だよ。今夜のごちそうは、なーんだ? えへへ。それはね、あったかいジャガイモだよ」 「ああ、さっき見た、お金持ちの女の子と同じ目だ。 こっちはジャガイモのごちそうだけど、どっちの女の子も同じように幸せなんだなあ」 「とてもおいしい、ジャガイモだね」 にぎやかな食事が終わると、子どもたちはベッドに入って、お母さんからおやすみのキス、してもらいました。 「ああ、楽しい夜だったなあ」 安物のロウソクは、この家族と一緒に幸せな時間を過ごせて、とても満足でした。 ・・・あっ、お母さんがぬい物を始めるぞ。よーし、ぼくも頑張らなくちゃ」 おしまい |
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