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8月14日の世界の昔話
ほら吹き男爵 裏返しになったオオカミ
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わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
それにしても運命とは皮肉なもので、わがはいが武器を持ちあわせていない時に限って、恐ろしい動物に出くわす。
あいつらの本能が、わがはいが無防備なのをかぎつけるのだろうか?
まあ、それはともかく、わがはいが森を散歩している時、一匹のオオカミが後ろから襲いかかってきた。
「しまった!」
わがはいが振り返った時には、もうオオカミは飛びかかる体勢だった。
もちろん、ただの散歩だから、鉄砲など持っていないし、たとえ持っていても構える余裕はなかっただろう。
「こうなれば!」
わがはいは、とっさにげんこつを握ると、そのげんこつをオオカミの口の中へ突っ込んだ。
そしてげんこつを、腹の奥へ奥へと無理やり押し込むと、
「えいっ!」
と、気合いもろとも、オオカミの腹わたをつかんで引っ張り出してやった。
するとオオカミのやつ、あわてて脱いだ手袋の様に、くるりと裏返しになったではないか。
「ははーん、ざまあ見ろ」
こうしてわがはいは、ゆうゆうと引きあげたのだ。
『避けきれないピンチは、逃げるよりも立ち向かえ』
それが、今日の教訓だ。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
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