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8月14日の日本の昔話
知らぬが仏
群馬県の民話→ 群馬県情報
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
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投稿者 「癒しの森っ子」
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投稿者 「きべだよ。」
むかしむかし、上野の国(こうずけのくに→群馬県)と武蔵の国(むさしのくに→埼玉県、東京都、神奈川県)のさかいに、不思議な街道がありました。
そこを人が通ると、地面から『ズーン!』と奇妙な響きがするのです。
ある日、村人たちがあれこれと相談して、
「よし、思いきって掘ってみよう」
と、奇妙な響きがする場所を掘っていきました。
どんどん掘っていくと、やがて金物でも打つように、
クワーン!
と、地面から音が響きました。
「それっ。ここだ、ここだ」
一人の男が勢いよく掘り始めると、
ドドドーッ!
と、周りの土が崩れ落ちて、男は土と一緒に地の中へ吸い込まれてしまったのです。
そして男が吸い込まれた場所には、ぽかんと大きな穴が開いていました。
地上のみんなは、大きな穴の中をのぞいてみました。
「いったい、何じゃろ?」
「やつは、どうしたんじゃ?」
「暗くて、何もわからんぞ」
「でも何とかして、助けてやらにゃ」
みんなが相談していると、地面から何かが聞こえてきました。
「・・・たすれてくれーっ」
「何じゃろう?」
みんなが耳をすますと、
「助けてくれーっ」
と、言っているではありませんか。
そこで一人が、大きな声でどなりました。
「おーい。今から、つなを下ろしてやるからな。しっかりつかまれよ!」
つなを下ろしてやると、つなにつかまる手ごたえがありました。
「それっ、引き上げろ!」
よいしょ、よいしょ!
よいしょ、よいしょ!
やっとの事で、吸い込まれた男を穴の中から引き上げました。
「おい、大丈夫か?」
「穴の中は、どうなっていたんだ?」
みんなが聞くと、男は首をかしげて言いました。
「真っ暗でよくわからんが、どうも土がないんじゃ」
「なに? 穴の中に土がないのか?」
「ああ。ただ、金物みたいな、石みたいな、固い物があるんじゃ」
「ふーむ。して、穴は広いのか?」
「うむ、家の様に広い気がしたぞ」
「土の中に、石の家が埋まっているのか?」
「まあいい、掘ってみればわかることだ」
そこでみんなは穴のまわりを、どんどんどんどん掘っていきました。
すると何と、大きな大きな大仏が、あおむけに寝た姿で土の中にうめられていたのです。
さっきの男はこの大仏のおへその穴から、お腹の中へ落ちたというわけです。
「これは、大変な物が出てきたな」
「どうすればいい?」
みんなはさっそく庄屋さんの家に集まって、どうしたらよいか話しあいました。
「どうする? 掘り出すか?」
「ばか言うな。こんな物をうっかり掘り出したら、役人へ届けないとなるまい」
「そうだ。そんな事をしてみろ、役人はわしらに色々な調べや手伝いをさせるから、わしらの仕事が出来んぞ」
「そうだ。稲刈りも近いというのに、そうなれば村中が大迷惑じゃ」
「ならどうする? いっその事、元のように埋めてしまうか?」
「そうじゃ、それが一番じゃ」
そこでみんなは仏さまのおへその穴に厚い板をあてて、仏さまの上にどんどん土をかぶせて元のように埋めてしまいました。
今でもその仏さまは、地面の中に埋まっていると言われています。
そしてことわざの『知らぬが仏』は、ここから生まれた言葉だとも言われています。
おしまい
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