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12月6日の日本民話

おふろはこわい

おふろはこわい
千葉県の民話

 むかしむかし、あるところに、まだ一度もおふろを見たことのない人たちの村がありました。
 ある時、この村のお百姓(ひゃくしょう)さんがよその村へ行ってお風呂(ふろ)を見ました。
「なるほど、これはいい物だな」
 家にもどってくると、さっそく自分で風呂おけを作って、その中にお湯を入れました。
 うわさを聞いて、近所の人たちが集まってきます。
「なんてでっかいたるだ、まるでかんおけみたいじゃないか」
「なんと、あの中に入って体をあらうんだと。お湯がよごれてしまっては、あとで使うこともできまい」
 みんなは首をかしげながら、風呂おけをとりかこみました。
 そこへ、畑に行っていたこの家のおばあさんがもどってきました。
「さあ、おばあさん、お風呂に入ってください。これは体をあらうのに、とてもべんりなものだそうですよ」
「とんでもない! こんな大きなおけに入ったら、出られなくなってしまう」
「大丈夫。ここにちゃんとふみ台があるから」
 お百姓さんに言われて、おばあさんはしぶしぶ着物をぬいでふみ台にのぼりました。
 でも足がよごれているので、このまま入ればお湯がよごれてしまうと思い、頭からふろおけにとびこんだのです。
「た、たいへんだー!」
 みんなはあわてて、おばあさんを引っぱり上げました。
 ぐったりとのびてしまったおばあさんを見て、みんなは口々にいいました。
「ああ、お風呂はおそろしい」

おしまい

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