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７月５日の小話

うらない

　むかし、やまぶし（仏道の修行のため、野山で生活する人　→詳細）がひとり、伊勢(いせ→三重県)と江戸のわかれ道のところで、首をかしげておりました。
「はて、どちらにいけばよいのやら」
　そこへむこうから、百姓がやってきました。
「こりゃ、百姓。伊勢はどちらかな、おしえてくれ」
と、いばってきくと、百姓は、
「やまぶしめが、おうへいな口をききおって。うらなうのは、おまえさんの商売だろう。伊勢がどっちか、自分でうらなってゆけ」
と、どなりかえしました。
「それは、もっとも」
と、やまぶし。
　しばらく考えてから、
「わかった、わかったぞ」
「どうだ、どっちと出た」
　百姓がきくと、やまぶしは、
「百姓にきいてゆけと出た」

おしまい