福娘童話集 きょうの小話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 
     7月19日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
マッターホルン北壁登頂の日
きょうの誕生花
がま
きょうの誕生日・出来事
1964年 近藤真彦(俳優)
  7月19日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
びょうぶのトラ
きょうの世界昔話
世界一気前のいい男
きょうの日本民話
打ち出の小づち
きょうのイソップ童話
お百姓と木
きょうの江戸小話
かみなりぎらい
7月19日の広告

福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 7月の江戸小話 > かみなりぎらい

7月19日の小話

かみなりぎらい

かみなりぎらい

 むかし、むかし、江戸に、民之助(たみのすけ)というさむらいがおりました。
 このさむらい、酒は大好きですが、こまったことに、かみなりさまが大きらいです。
 それも、はんぱではなく、遠くのほうで、ゴロゴロといっただけで、もう、体中がふるえるというありさま。
 そんなことだから、つとめにもさしつかえるし、嫁のきてもありません。
 ある日のこと、このかみなりぎらいが、仲のよい友だちと、いいきげんで、酒を飲んでおりました。
「おい、民之助。おまえは、どえらくかみなりさまがきらいだが、そんなものぐらい、自分で何とかならんのか」
「ならん。かみなりがこわいなんて、われながら意気地(いくじ)がないとおもうが、そいつだけは、ならん」
「どうにもならんというのか」
「うーむ。なにしろ、かみなりのきそうな日は、もう、朝のうちから、気がおちつかん。それに、いったん、ゴロゴロと鳴りだしたら、身もたましいも、この世にありはせん」
 民之助は、いかにもつらそうに、正直なところを、白状(はくじょう)しました。
 それをきいた友だちは、心の中で、
(この男、剣を持たせりゃ、なかなかのうでまえのくせに、おかしなやつだ)
と、しばらく、じいっと考えていましたが、
「ああ、そうそう。おまえ、酒のほうは、おおいにいける口だったな」
「うん、こいつがなくては、これまた、身もたましいもこの世にないわ。はははっ」
と、民之助が、にがわらいすると、友だちは、
「そうか、それなら、おまえのかみなりぎらいが、ピタリと、とまる方法があるぞ」
「えーっ! そんなうまい方法がか? ぜひおしえてくれ!」
「うむ。だが、おしえたところで、やれるもんか」
「なにをいう。やれるかやれんか、ためしてみんことには、わかるまい」
「では、おしえるが。いいか。これをやめるんだ」
「なに?」
「おまえのすきな、この酒を、きっぱりやめてみろというんだ。だが、やめるといっても、そう長いことではない。かみなりが鳴りだすまでだ。鳴りだしたら、とたんに、飲みはじめてかまわん。どうだ」
「よしっ。やってみせる!」
 それからというもの、民之助は、友だちとの約束を、とにかく守った。
 あれほどすきな酒を、じーっと飲まずにがまんしました。
 あつさのきびしいときや、つかれのひどいときなどは、たまらなく、
(ああ、一ぱい飲みたいなあ。いやいや、こういうときこそ、がまんせにゃ)
と、がんばりにがんばりました。
 するとある日、雨雲が空いちめんにひろがりました。
(そうら、酒が飲るぞ)
と、民之助は、おどりあがって、酒のしたくに台所ヘ走ります。
ピカッ!
 とっくりをつかんだとたんに、いなびかり。
ゴロ、ゴロ、ゴロー!
「やれ、ありがたや。よくきてくれて、かみなりどの」
 茶わんととっくりを、えんがわに持ちだすと、民之助は、どっかりとあぐらをかきました。
ゴロ、ゴロ、ゴロー!
ザザザザーッ!
 かみなりは鳴る、雨はたきのようにふる。
 それだというのに、民之助は、うれしそうに酒を飲んでいます。
 かみなりのこわさよりも、お酒が飲るうれしさの方が、強かったのでしょう。
 それから、民之助のかみなりぎらいは、なおったと言うことです。

おしまい

一覧へ移動   このページを閉じる   ホームへ移動

きょうの江戸小話
ミニカレンダー
<<  7月  >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識