7月17日の世界の昔話
むかしむかし、ゾウはビールやごちそうを用意すると、動物たちを呼んで宴会(えんかい)を開きました。
「このビールは、ツノのあるものだけに飲ませてやる。ツノのないものはだめだ」
「ビールは、おいしいんだろうなあ。ツノがあれば、ビールが飲めるのに。
・・・そうだ、ツノを手に入れればいいんだ」
そこでウサギはしげみにかくれて、若いシカが来るのを待ちました。
「今だ!」
ウサギはシカの背中に飛び乗ると素早くシカのツノを切り取って、
自分の頭にはりつけたのです。
「よしよし、これでビールが飲めるぞ」
「ゾウさん。ぼくにもビールをください」
たいしたものだ。さあさあ、えんりょなく飲め」
「ぷはーーっ! 良い気持ちだ。ビールとは、なんとおいしい飲み物だろう」
するとそこへ、年寄りのシカがやって来ました。
「おやおや、ずいぶんおそくおいでだね? おじいさんには、ツノがないのかい?」
「わしは、お前がツノを切り取ったシカのおじだ。あんまりフラフラしていると、はりつけたツノが取れてしまうぞ」
ウサギは、むりやり笑って答えました。
「あんまりフラフラしていると、はりつけたツノが取れてしまうぞ!」
(これはまずい、どうしよう?)
ウサギは怖くなって、ガタガタとふるえ出しました。
するとそのはずみで、頭にはりつけたツノがポロリと地面に落ちてしまいました。
「わあー! ごめんなさーい!」
ウサギはあわてて、逃げていきました。 おしまい |
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