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福娘童話集 > きょうのイソップ童話 > 2月のイソップ童話 > ライオンとヒツジ飼い
2月16日のイソップ童話
ライオンとヒツジ飼い
森を歩き回っていたライオンが、うっかりイバラを踏んで、足にトゲを刺してしまいました。
そこでライオンは、近くに住むヒツジ飼いのところへ行き、やさしい目で頭を下げると、まるで、
『私には、あなたの助けが必要です』
と、でも言うように、尻尾を振りました。
ヒツジ飼いは勇敢にも、このライオンを調べてやり、足に刺さったトゲを見つけると、ライオンの前足を自分のひざの上に乗せて、そのトゲを抜いてやりました。
痛みのなくなったライオンは、ヒツジ飼いにもう一度頭を下げると、森へと帰って行きました。
それからしばらく過ぎた、ある日の事。
ヒツジ飼いは無実の罪で捕まり、裁判の結果、『ライオンに投げ与えよ』と、いう死刑を宣告されました。
ヒツジ飼いが何度も無実を訴えますが、裁判官は聞き入れてくれません。
裁判官の命令で、ライオンを入れてあるオリの扉が開かれました。
開かれたオリの扉から、ライオンがゆっくりと出てきました。
しかし、死刑のためにオリから放たれたライオンは、あの足にトゲが刺さっていたライオンでした。
ライオンは彼が自分のトゲを取ってくれたヒツジ飼いである事に気づくと、襲いかかるどころか近づいて行って、やさしい目で頭下げると、そっと前足をヒツジ飼いのひざへと置きました。
王さまはこの話を耳にすると、すぐにライオンを森へ返してやり、ヒツジ飼いも無罪にして家に帰らせてやりました。
どんなに恐ろしい人でも誠意を持って親切にすれば、その人はいつの日か必ず、あなたに恩返しをしてくれるでしょう。
おしまい
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