|
|
福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 1月の日本昔話 > 若返りの水
1月28日の日本の昔話
若返りの水
回春水
・日本語 ・ひらがな(Japanese) ・英語
・日本語 & 英語 ・日本語&中国語 ・日本語&客家語
客家語 : 鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「ちょこもち」 ちょこもち
むかしむかし、山のふもとの小さな村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
頭擺頭擺,老阿伯摎老伯姆,戴在一個山脚下个細村莊。
おじいさんの仕事は、炭焼きです。
老阿伯做該燒火炭个事。
山の木を切って、炭を焼いて俵(たわら)に詰めて、近くの町ヘ売りに行くのです。
去山頂倒樹仔,來燒做火炭,張在炭籠肚拿去就近个街路賣。
でもおじいさんは、この頃年を取って仕事が辛くなりました。
毋過老阿伯,這下老了,做這事當食力。
「ああ、腰は曲がるし、目はしょぼしょぼするし。・・・嫌になってしもうたなあ」
「唉!腰拑背吊,目花鼻黄...感到盡得人畏。」
その日もおじいさんは炭俵をかついで、ヨタヨタと山を下り始めました。
有一日佢摎平時共樣,背等炭籠踜踜蹭蹭㧡等下山,
とても暑い日だったので、喉がカラカラに渇きます。
因為該日非常熱,嘴當渴。
ふと見ると、道ばたに突き出た岩から、きれいな水がチョロチョロと吹き出していました。
忽然間,看到路脣突出个石牯縫流出淨淨个水。
「こいつは、ありがたい」
「這種東西盡承蒙。」
おじいさんは、その冷たい水を飲みました。
老阿伯啉口冷泉水。
とてもおいしい水です。
非常好食个水。
「ああ、うまかった。何だか腰がシャンと伸びた様だぞ」
「啊,好食!仰般腰骨會毋多知伸直樣呢。」
おじいさんは水のおかげで元気が出たのだと思い、深く考えもせずに山を下りて家へ帰ってきました。
老阿伯想係因為水个關係,使佢變到盡有元氣、無再過多想就下山轉屋下去。
「ばあさんや、帰ったよ」
「老伯姆,𠊎轉來咧。」
「おや、早かったですね。おじいさん・・・!」
「啊!還早呢,老貨仔...!」
おばあさんはビックリ。
老伯姆著下驚,
目をパチパチさせて、おじいさんを見上げました。
目珠緊眨,臥頭看老阿伯。
いいえ、おじいさんではなく、そこにいたのはおばあさんがお嫁に来た頃の、あの頃の若いおじいさんでした。
毋着,毋係老阿伯,該個人係老伯姆嫁來時節个後生細阿哥仔。
「・・・わたしは、夢でも見ているんじゃあ、ないでしょうかね」
「...𠊎係發夢麼,怕毋係哪?」
おじいさんもおばあさんに言われて始めて、自分が若返っている事に気づきました。
老阿伯聽老伯姆恁樣講,也開始注意到自家變後生个事情。
「若返りの水というのがあると聞いていたが、それではあれがその水だったんだな」
「頭擺識聽過回春水个東西,敢係山頂該種水?」
おじいさんは岩から吹き出していた、きれいな冷たい水の事をおばあさんに話して聞かせました。
老阿伯摎佢在山頂石頭縫噴出來淨俐又清涼个水个事情講分老伯姆聽。
「まあ、そんなけっこうな水があるんなら、わたしも行って頂いてきましょう」
「啊,有恁好个水,𠊎乜愛來去食。」
おばあさんはそう言って、次の日さっそく山へ出かけて行きました。
老伯姆講了,第二日煞煞去山頂,
おじいさんはおばあさんがさぞかし若くきれいになって、帰って来るだろうと楽しみにして待っていました。
老阿伯想老伯姆定着會變後生又靚轉來,心情快樂在屋下等。
ところが昼になっても、夜になっても、おばあさんは帰ってきません。
但係等到晝、暗還係無轉來,
おじいさんは心配になって、村の人と山へ探しに行きました。
老阿伯盡愁,摎鄰舍共下去山頂尋。
でも、おばあさんはいません。
毋過無尋到。
「いったい、どこへ行ってしまったんだろうなあ?」
「到底去哪位哪?」。
「キツネに化かされて、山奥へ連れて行かれてしまったのとちがうか?」
「會分狐狸精迷去,渡去深山肚麽?」
みんなが話し合っていると、
大家你一句𠊎一句,講東講西个時節,
「オギャー、オギャー」
「onga~ onga~」
と、そばの草むらの中から、赤ん坊の泣き声が聞こえて来ました。
在脣頭草竇肚傳來嬰兒仔个噭聲。
おじいさんが近づいてみると、おばあさんの着物を着た赤ちゃんが、顔をまっ赤にして泣きじゃくっていました。
老阿伯行兼去看,係著等老伯姆个和服个嬰兒仔,噭到面紅漬炸。
「・・・馬鹿だなあ、ばあさんの奴。飲み過ぎて赤ん坊になってしもうた」
「...大戇嫲,老伯姆啉忒多水嗄變嬰兒仔咧。」
仕方がないので、おじいさんは赤ん坊を抱いて家へ帰りました。
無法度,老阿伯高不將揇等嬰兒仔轉屋下去。
おしまい
煞咧
|
|
|