福娘童話集 > きょうの日本昔話 > ２月の日本昔話 > 頭の池

2月4日の日本の昔話


イラスト　柴田伸子　　サイト　昔話で販促！

頭の池
頭那肚个大埤塘

・日本語　・日本語＆中国語　・日本語＆客家語

福妹日本童話集 (臺灣客語．海陸腔) 翻譯：鄧文政(ten33 vun55 zhin11)

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より) かき　　　きのこ　　さかな

むかしむかし、あるところに、どうにも貧乏な男がいました。

「人並みに暮らしたいなあ。・・・そうだ、観音様（かんのんさま）にお願いしてみよう」

「過普通人个日仔就好．．．係哪，來去求觀音娘看啊！」

男が村の観音様に通って、お参りを続けていると、ある晩、観音様が現れて、

男仔人就輒輒去求莊肚个觀音娘，有一暗晡觀音娘現靈，

「いいだろう。お前の願い、叶えてしんぜよう。夜が明けたらお宮の石段を降りていって、最初に見つけた物を拾い、それを大事にしなさい」
と、告げました。

摎佢講：「應該做得啊，你个願望𠊎就幫助你達成。天光後，行下廟前石碫仔个時節，摎你最先看著个東西拈起來，好好愛惜。」

やがて男が石段を降りて行くと、何か落ちています。
無幾久，男仔人聽煞就行下石碫時節，看到毋知麼个東西跌下來。

「ははん。これだな」

「hahan！敢你這？！」

拾いあげると、それはカキのタネでした。

拈起看，係一粒柿仔个核。

「何だ、こんな物か」

「麼个，這種東西係無？」

男は捨てようかと思いましたが、せっかくお告げをもらったのですから粗末に出来ません。
男仔人想㧒忒，想著觀音娘講過个話毋敢儘採。

ありがたくおしいただくと、これは不思議。

非常承蒙，當神奇。

カキのタネが男のひたいにピタッと張り付いて、取ろうにも取れません。

柿仔核堵好彈到額頭黏核核，想愛拿拿毋下來。

「まあいい、このままにしておこう」

「又乜好，隨在佢。」

すると間もなく、カキのタネから芽が出て来ました。

無幾久，柿仔核必芽了。

芽はズンズン伸びて、立派な木になりました。

芽緊生緊大變做大叢樹仔囉。

男がたまげていると、カキの木は枝いっぱいに花をつけ、花が終わると鈴なりに実をつけました。

男仔人發痴驚个時節，柿仔樹椏開到淰淰个花，等花謝忒打到滿樹个柿仔。

「うまそうだな。試しに食べてみよう」

「像形盡好食樣，摘隻來試食看啊！」

男が食べてみると、甘いのなんの。

男仔人試食感覺當好食，

男はさっそく、町へカキを売りに行きました。

男仔人就摘去街路賣。

「頭にカキの木とは、珍しい」

「頭那頂个柿仔樹，罕得看著！」

「おれにもくれ」

「分𠊎。」

「おれもだ」

「𠊎乜愛。」

カキは、飛ぶ様に売れました。

柿仔一下仔賣淨淨。

男はお金をふところにホクホク顔でしたが、面白くないのは町のカキ売りたちです。
男仔人衫袋肚裝到淰淰个錢，歡喜樂天，毋過其他賣柿仔个人當無歡喜。

「おれたちの商売を、よくも邪魔したな！」

「摎𠊎兜个生理搶淨淨！」

男を囲んで袋叩きにすると、頭のカキの木を切り倒してしまいました。
大家摎佢圍起來打，摎佢頭那頂个柿仔樹舞倒忒。

「ああ、もう、金もうけ出来ない・・・」

「啊！沒辦法再過賺錢了．．．」

男がしょげていると、切り倒されたカキの木の根元に、カキタケという、珍しいキノコが生えてきました。

おいしいキノコなので男が売りに行くと、これまた飛ぶ様に売れました。

因為盡好食，男仔人拿去賣，又係一下仔賣淨淨。

面白くないのは、町のキノコ売りたちです。

無歡喜个係該兜街路賣菇个人。

「おれたちの商売が、あがったりだ！」

「𠊎兜个生理毋使做了！」

男を囲んで袋叩きにすると、カキの木の根元を引っこ抜いてしまいました。

又摎男仔人圍起來打，連頭那頂个柿樹頭挖忒。

男は、ガッカリです。

男仔人當失望。

頭には、大きなくぼみが出来てしまいました。

頭那頂出現大窟。

やがてこのくぼみに雨がたまって、大きな池が出来ました。

無幾久，這个大窟張淰雨水，變个大水窟。

「こうなったらいっその事、池に身投げをして死んでしまいたい」

「變成恁仰毋當去跳水窟死較嬴。」

男がなげいていると、頭の池でパチャンとはねるものがありました。
男仔人當傷心時節，頭那頂个水窟砰聲有東西跳起來。

手に取ってみると、大きなコイです。

用手去試捉，係一條大鯉嫲。

頭の池にはいつしか、コイやらフナやらナマズやらが育っていたのです。

頭那頂个水窟肚不知不覺畜有鯉嫲、鯽魚、塘虱。

男は頭の池の魚を売りに行って、またまたお金をもうけましたが、町の魚売りたちはあきれて、ポカンとながめているだけでした。

男仔人去賣頭那頂个魚仔，又賺賺錢，街路該兜賣魚仔个人斯有發痴驚摎發琢呆緊看定定。

おしまい

煞了

☆おしらせ☆