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6月20日の日本の昔話
十七毛ネコ
十七色个貓仔
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六(きっちょむ)さんと言う、とてもとんちが上手な人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常伶俐。
吉四六さんは面白いアイデアで、お金儲けをするのが得意な人です。
吉四六先生用盡生趣个想法,去賺當多錢。
ある時、吉四六さんは、町でこんな話しを聞きました。
有一擺,吉四六先生在街路聽到恁樣个事:
「オスの三毛ネコ(→ネコの毛色で、白・黒・茶の三色の毛が混じっているネコ)を船に乗せておくと、どんなにひどい嵐にあっても決して沈む事がない。
「若係你帶一條公个三色花貓仔(→三色貓,貓毛个色目,有白色,烏色和豬肝色三種个毛混雜。)在船頂,不論堵著幾大个風浪也永遠毋會沉忒。
それで船乗りたちはオスの三毛ネコを見つけると、良い値段で買い取るんじゃ。
所以,船員看著公个三色花貓仔時節,佢兜會出高價去買。
何しろメスの三毛ネコはいくらでもおるが、オスの三毛ネコは、めったにおらんからのう」
仰會,滿天都有當多嫲个三色花貓仔,公个三色花貓仔恁少見呢?」
それを聞いた吉四六さんの頭に、お金儲けのアイデアが浮かびました。
聽到這個消息个吉四六先生,頭那黏時想著賺錢个想法。
(そういえば、わしの家にオスの三毛ネコがいたな。こいつを使えば、一儲け出来るぞ)
(照恁樣講,𠊎屋下有一隻公个三色花貓仔。假使利用佢,做得賺兜仔錢哦。)
そこで吉四六さんは、さっそく浜の船乗り場へ行くと、大きな声でこんな一人言を言いました。
所以,吉四六先生煞煞去海脣渡船頭,大聲自言自語講:
「この辺には、オスの三毛ネコがたくさんおるのう。
「這就近有盡多公个三色花貓仔。
だがわしの家にいる様な、十七毛のオスネコはさすがにおらんのう」
毋過,像𠊎屋下樣个,一條十七種色个公貓仔別人絕對無!」
すると一人の船乗りが、吉四六さんに声をかけてきました。
過後,一個船員喊吉四六先生。
「十七毛のネコとは、珍しいな。吉四六さん、そのネコを譲ってはくれんか?」
「這隻有十七種色个公貓仔,當珍貴哪。吉四六先生,你做得讓分𠊎無?」
しかし吉四六さんは、わざと渋い顔で言いました。
毋過,吉四六先生挑挑變面講:
「いや、売るわけにはいかん。何しろ十七毛のオスネコは、わしの家の宝物じゃ」
「毋,𠊎毋賣,總講,一條十七種色个公貓仔係𠊎屋下个寶。」
そう言われると船乗りは、ますます十七毛のネコが欲しくなりました。
分佢恁樣講阿去後,船員還阿想愛得著該條十七種色个公貓仔。
「それなら吉四六さん。お礼に五両を出そう、どうだ?」
「該恁樣,吉四六先生,出五兩答謝你,做得無?」
「まあ、それほどに言うのなら仕方あるまい。売る事は出来んが、しばらく貸してやろう」
「好啦,講到這種程度,實在無法度,做毋得賣你,毋過做得借你一站仔。」
「それは、ありがたい。
「該就承蒙你。
ちょうど明日から、大事な仕事があるんだ。
堵堵韶早開始有重要个事情。
じゃあ明日の朝に、吉四六さんの家へ取りに行くよ」
無,𠊎韶朝晨,去吉四六先生屋下捉貓仔。」
さて翌朝、船乗りは吉四六さんの家へやってくると、財布からお金を取り出して言いました。
第二朝晨,船員來到吉四六先生屋下後,在錢包肚拿出錢,講:
「大事な宝物を借りるのだから、ただでは申し訳ない。お礼に、この一両を受け取ってくれ」
「摎你借恁重要个寶物。這一點仔意思定,承蒙你,這一兩錢請你收起來。」
「はい、せっかくのおこころざしですから、ありがたく頂きましょう。では、オスの十七毛ネコを連れてきますでな」
「好,非常感謝你个心意,請你摎該條十七種色个公貓仔渡去。」
そう言うと吉四六は、家の火鉢の横で寝ていた汚い三毛ネコを抱きかかえてくると、船乗りに渡しました。
講煞後吉四六先生,就去揇起睡在屋下火缽脣屙屙糟糟个貓仔,交分船員。
受け取った船乗りは、不思議そうな顔で吉四六さんにたずねます。
接到个船員,面色當奇怪問吉四六先生。
「吉四六さん。このネコはどう見ても、普通の三毛ネコに見えるのだが」
「吉四六先生,這條貓仔仰仔看都像普通个三色花貓仔。」
すると吉四六さんは、にんまり笑って説明をしました。
吉四六先生笑咪咪解釋講:
「確かに、こいつはオスの三毛ネコじゃ。だがこのあいだ、火の残っているかまどにもぐり込んで、背中をちょいとヤケドしました。つまり、八毛」
「當然,這係一條公个三色花貓仔。但係,這駁仔,伸有火屎个火爐肚,背囊毛燒出八種色。」
「しかし吉四六さん。三毛と八毛を足しても、十一毛にしかならんぞ。十七毛には、まだ六毛が足らんのではないか?」
「毋過吉四六先生,三種色加八種色,乜正十一種色。摎你講个十七種色毋係還差六種色嘎?」
「いやいや。尻の毛が、むけておるでしょう。毛が無いので、つまり無毛(六毛)。三毛と、八毛と、六毛を全部合わせると、十七毛ですよ」
「毋係,毋係,屎朏毛㪐忒了。毛無忒,也就係無毛(六色毛)。三色,八色摎六色合做下,佢就係十七色哦。」
「なるほど。確かにこいつは、三毛と八毛と六毛で、十七毛ネコだ」
「𠊎了解了。確實,這條係三色,八色,六色總下十七色个貓仔。」
船乗りは吉四六さんのとんちに感心すると、ほかの船乗りにも同じ話しで自慢してやろうと、その十七毛ネコを喜んで持って帰りました。
這位船員對吉四六先生个伶俐當佩服,想轉去摎其他船員展一下,斯歡歡喜喜渡等這條十七色个貓仔轉去。
おしまい
煞咧
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