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10月2日の日本の昔話
こぶ取り
割瘤
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。
その吉四六さんの住む村には、両方のほっぺたに大きなこぶのあるおじいさんが住んでいました。
吉四六先生戴个村莊肚,有一個老阿公,厥兩片面頰卵都生瘤。
そのこぶは、ほうっておいても何の害もないのですが、こぶが気になって仕方のないおじいさんは、そのこを治そうとあちこちの医者に診てもらいました。
該隻瘤,哪係由在佢也毋會有麼个傷害,毋過對生瘤非常掛心又無奈何个老阿公,想愛醫好瘤,各處去尋名醫診療。
しかし、こぶはいっこうに治らず、高い薬代のおかげで家はだんだん貧しくなっていきました。
毋過,瘤總係醫毋好,因為醫藥費當貴,屋下越來越苦了。
それでもおじいさんはあきらめず、江戸(えど→東京都)の名医に診てもらう費用を得る為に、自分の家を売ってしまおうと考えたのです。
雖然係恁樣,老阿公還係毋死心,為著準備去江戶(東京)醫病个費用,想愛摎自家个屋拿去賣。
これを知った息子の太郎兵衛は、あわてて吉四六さんに相談しました。
厥倈仔太郎兵衛知著,慌慌張張、煞煞去請教吉四六先生。
「何とかして、家のじいさまに、こぶの療治をあきらめさせる法はないものだろうか?」
「有麼个辦法,使著屋下爺仔放棄醫佢个瘤無?」
すると吉四六さんは、にっこり笑って言いました。
吉四六先生笑咪咪講:
「よし、おれに任せろ。明日、おれが行ってこぶを取ってやるからな」
「好,交分𠊎,韶早𠊎來去摎瘤割下來。」
次の朝、吉四六さんは腰に手オノをさして、手にはざるを持ち、おじいさんの家の前に立って大声をあげました。
第二朝晨吉四六先生拿支斧頭插在腰,手擐細毛籃。企在老阿公屋門前大聲喊:
「えー、こちらは、こぶ屋です。こぶはありませんか。こぶがあったら高く買いますよー」
「噯,𠊎係做瘤買賣个人,有瘤好賣無?係有𠊎出高價你買哦。」
すると思った通り、おじいさんが飛び出してきました。
過後,照佢想个恁樣老阿公像飛樣走等出來。
「こぶを買い取るとは、本当か!」
「愛買瘤,有影無?」
すると吉四六さん、とても真面目な顔で言いました。
吉四六先生神投投仔講:
「はい、わしは昨日山に行って天狗からこぶの注文を受け、こぶ取りの術を教わってきました。おじいさん、あんたのこぶが不用なら、わしに売ってくれませんか。値段は一つ八文だから、両方で十六文だ」
「係,昨晡日去山頂有天狗摎𠊎注文瘤,教𠊎取瘤个技術。老阿公,你該瘤若係無用,賣分𠊎做得無?價數一片八文錢,兩片十六文錢。」
「何と、それはありがたい!こぶを取る為には、家を売ってもかまわないと思っていたところだ。それが十六文で売れるなんて。さあ、早く取ってくれ」
「麼个呀,該就還承蒙你!為著摎瘤拿忒个費用,連屋下賣忒乜無相干。還做得賣十六銑錢,遽遽摎𠊎割下來。」
おじいさんは大喜びで、こぶを売る事にしました。
老阿公歡喜壢天,摎瘤賣忒。
吉四六さんはこぶ代の十六文を払うとおじいさんを土間に座らせて、
吉四六先生付了十六文錢,斯喊老阿公坐在泥屋仔裡肚。
「ちんんぷいぷい、うんたらかんたら・・・」
と、適当な呪文を唱えながらこぶをなでていましたが、突然、右手に隠していた手オノを振り上げたのです。
「chin n puipui、untarakantara‧‧‧」
緊念咒拗訣緊用手挲瘤,忽然間擎起囥在正手个斧頭。
それを見たおじいさんは、びっくりして叫びました。
看著該个老阿公,著驚一下大聲噦出來:
「吉四六さん!何をするつもりだ!?」
「吉四六先生!你想做麼个!?」
「何って、この手オノで、こぶを切り落とすんだ!」
「還使問,愛用斧頭摎瘤割下來!」
「め、めっそうな!そんな事をしたら、命がなくなってしまう」
「失,失禮!恁樣搣,命會分你收去。」
「かもしれねえが、別にあんたの命がどうなろうと関係ない。ただわしは、こぶだけを買ったのだから」
「無定哦,摎你个命會變仰般無麼个關係,𠊎斯愛摎買瘤定定。」
「吉四六さん、許してくれ!もうこぶは売らない」
「吉四六先生!請你原諒,瘤無愛賣了。」
「では、こぶがおしくなったのか?」
「係毋係試著毋盼得了係無?」
「うん、おしくなった!」
「m11,毋盼得!」
すると吉四六さんは、やっと手オノを下に置いて、
過後,吉四六先生勉勉強強摎斧頭放下去。
「じゃ、今日は止めておこう。だが、こぶの代金は払ってあるのだから、大事にしまっておいて下さいよ」
「好,今晡日到這為止,毋過,𠊎瘤个錢撿分你了,愛摎佢照顧好。」
そして吉四六さんは、隣にいた息子の太郎兵衛に言いました。
吉四六先生斯摎企在佢脣頭个倈仔太郎兵衛講:
「太郎兵衛、お前が証人だ。おじいさんがこぶを邪魔だと言ったら知らせてくれ。すぐに取りに来るから」
「太郎兵衛你係證人,老阿公若係有一息仔感覺瘤麻煩請遽遽通知𠊎,黏時來摎瘤割下來。」
「うん、わかった。じいさまがちょっとでもこぶを邪魔だと言ったら、すぐに知らせるよ」
「m11,𠊎知,吾爸若係有一息仔感覺瘤麻煩𠊎會黏時通你知。」
それからおじいさんは、こぶを取る事をあきらめたという事です。
自該以後,老阿公對割瘤个事情完全死心了。
おしまい
煞咧
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