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10月5日の日本の昔話
舟の渡し賃
渡船費
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
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投稿者 「カボスひろし」 大分県産カボスひろしTV
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。
ある日の事、吉四六さんは庄屋(しょうや)さんに呼ばれました。
有一日,莊長喊佢。
「すまない、吉四六さん。渡し舟の船頭が病気で倒れてしまったんだ。今日だけでいいから、代わりに渡し舟の船頭になってはくれまいか」
「失禮,吉四六先生。渡船个船長發病仔,今晡日拜託你來代理船長好無?」
「はい、いいですよ」
「好,做得啊!」
そんなわけで、吉四六さんは今日一日、村の渡し舟の船頭です。
所以,吉四六先生今晡日一日做莊內渡船个船長。
「暇じゃな。誰か客が来ないかなあ」
「還閒哪,無半儕人客。」
川縁でタバコを一服していると、旅の侍(さむらい)がやって来ました。
斯去河壩脣㗘煙,有一個武士過來。
「これ、船頭。渡し賃はいくらだ?」
「噯,撐船阿哥,渡船費幾多錢?」
「はい。片道、八文(→二百四十円ほど)です」
「單單過去八文錢(大約貳百四十個銀)」
すると旅の侍は、威張って命令しました。
武士大聲命令佢:
「八文とは高い。六文にいたせ!」
「八文錢昶貴,六文錢拿去!」
吉四六さんは、
(このケチ侍め)
と、思いましたが、侍とけんかをしても負けてしまいます。
吉四六先生想(這個齧察武士) ,相吵乜吵毋贏佢。
「では、舟を出しますよ」
「船仔愛出發了。」
吉四六さんは、侍を乗せてこぎ出しました。
吉四六先生載等武士撐出去。
ところが、あと少しで向こう岸に着くというところで、吉四六さんは舟を止めました。
毋過,吉四六先生摎船仔撐到差息仔會到對岸个位所停下來。
「六文では、ここまでです。あと二文出してくれれば、向こう岸まで着けますが、どういたしましょう?」
「六文錢到這定定,拿加二文前斯載你到對岸,仰般?」
「何だと。ここで降りて、あとは泳いで行けというのか!」
「搣麼个,這位下船,伸个該截愛泅水過去係無!」
「いいえ、あと二文出せば、向こう岸までお送りしますよ」
「毋係,拿加二文前斯載你到對岸。」
「ええい、こうなれば意地比べだ。向こう岸までやれないのなら、元の岸に戻せ!」
「做毋得,恁樣忒過份了,假使毋去對岸,斯倒轉原旦該位!」
「へい、分かりました」
「he53,知了。」
吉四六さんは素直に舟を戻すと、侍の前に手を出しました。
吉四六先生正經駛倒轉去後,伸手摎武士討:
「では、六文のところを行って帰って来ましたので、合計十二文ちょうだいいたします」
「駛到六文錢个位所又駛倒轉去,總共愛十二文錢。」
「・・・くそーっ!わしの負けだ!」
「‧‧‧屎包牯,𠊎輸分你了!」
侍は十二文を払うと、どこかへ行ってしまいました。
武士撿了十二文錢以後,斯下船行到毋知哪位去了。
おしまい
煞咧
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