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11月5日の日本の昔話
おとりのキジ
做餌个雉雞
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。
吉四六さんの村にはカラスがたくさんいて、畑は荒らされるし、朝から晩までカァー、カァーとうるさいし、まったく困ったやっかい者です。
吉四六先生个村莊有當多烏鴉,躪人个園,一日到暗gua gua滾叫,當吵人。
「よし、わしがカラスを捕まえてやろう」
「好,𠊎來去捉烏鴉。」
吉四六さんがワナをしかけると、二十羽あまりのカラスがとれました。
吉四六先生做好陷阱後,捉著二十零隻烏鴉。
「さて、このカラスをどうしようか?」
「這兜烏鴉愛仰般好呢?」
カラスは他の鳥と違って、食べてもおいしくありません。
烏鴉摎別種鳥仔無共樣,無幾好食。
かといって、このまま捨ててしまうのも、もったい話です。
但係,恁樣拿去㧒忒,實在打爽。
「そうだ。町へ持って行って、カラスを売ってこよう」
「係哪,拿來去街路,試賣看。」
吉四六さんはカゴにカラスを入れると、何を考えたのかカゴのふたの上にキジを一羽乗せて出かけました。
吉四六先生摎烏鴉放落籠肚,無知考慮麼个,拿一隻雉雞放在籠仔蓋頂背。
「ええー、カラスはいらんかな。カラスの大安売りだよ。一羽がたったの十文(→三百円ほど)。カラスはいらんかな」
「ee~,愛買烏鴉無?烏鴉便宜賣哦,一隻正賣十文錢(約三百円),愛買烏鴉無?」
吉四六さんの売り声に、町の人たちは驚きました。
吉四六先生大聲喊賣,街路人分佢嚇著。
「おい、見ろよ。カラス、カラスと言っているが、カゴにつけているのはキジではないか」
「噯,你看,緊喊烏鴉、烏鴉,但係籠頂放个毋係鴙雞嘎?」
「なるほど、キジに間違いない。あの男、よほど田舎者とみえる。きっとカラスとキジの区別がつかんのだ。キジが一羽たったの十文なら、安い買い物だ。おーい、一羽くれ」
「有影,鴙雞無毋著,該個男仔人看起來像莊下人,絕對係毋識烏鴉抑鴙雞,鴙雞一隻若係十文實在便宜。噯,摎你買一隻。」
「わしにも、そのキジ・・・、いや、カラスをくれ」
「𠊎乜,該鴙雞・・・、毋係,烏鴉賣𠊎。」
「わしにもだ」
「𠊎乜愛。」
町の人たちが寄って来ると、吉四六さんはみんなから十文ずつもらって、カゴに入ったカラスを渡しました。
街路該兜人偎兼來,吉四六先生摎逐儕收十文錢,籠肚个烏鴉捉分佢。
「何だこれは?カラスではないか?」
「這係麼个?毋係烏鴉嘎?」
「そうだ、なぜキジをくれない!」
「係啊,仰毋拿鴙雞分𠊎?」
町の人たちは文句を言いましたが、吉四六さんはにっこり笑って言いました。
街路該兜人怪怨,毋過吉四六先生笑咪咪講︰
「わしはちゃんと『カラスはいらんかな』と、言ったではないか。そうだろう?」
「𠊎頭下敢毋係清清楚楚喊『愛買烏鴉無?』,係恁樣無?」
「そっ、それは確かに・・・」
「該,確實係・・・」
こうして吉四六さんは、売り物にならないカラスで大金をかせいだのです。
斯恁樣,吉四六先生靠賣無人愛个烏鴉,賺著當多錢。
おしまい
煞咧
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