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12月13日の日本の昔話
ウナギつりのおじいさん
釣鰻仔个老阿公
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「ちょこもち」 ちょこもち
むかしむかし、ウナギつりの上手なおじいさんがいました。
頭擺頭擺,有一個當會釣鰻仔个老阿公。
ある日、おじいさんがウナギをつりに行くと、とても大きなウナギがかかりました。
有一日,老阿公去釣鰻仔,一尾當大个鰻仔來食釣。
あまりにも大きくて重いので、なかなかさおがあがりません。
因為昶大、昶重,釣檳當毋著。
「ええいっ、これでどうじゃ!」
「ei~,仰會恁樣!」
おじいさんが力一杯引き上げると、そのはずみでウナギは川を飛び出して向こうの山まで飛んで行きました。
老阿公出大力拉,鰻仔順勢躍出河壩飛到對門山去了。
「ああっ、せっかくの大ウナギを逃がしたら大変じゃ」
「阿~,難得个大鰻仔,分佢走忒,還打爽。」
おじいさんはウナギを追いかけて、向こうの山まで行きました。
老阿公去追大鰻仔,走去對門山。
「おっ、おったぞ。ウナギのやつ、こんなとこまで飛んだのか。・・・おや?」
「在,在這,這尾鰻仔飛到這種所在?・・・哦?」
よく見ると、ウナギのそばに一頭のイノシシが倒れているではありませんか。
看真兜,吂知鰻仔脣頭有條山豬橫在該。
イノシシはここで昼寝をしていたのですが、ちょうどそこへウナギが落ちてきたので、イノシシは運悪く死んでしまったのです。
山豬因為在該睡當晝,堵好鰻仔對該跌下來,山豬運氣毋好斯死忒。
「ウナギとイノシシが一度に取れるとは、今日は何と良い日だろう」
「一下捉著山豬摎鰻仔,今晡日,日仔拗蠻仔靚。」
おじいさんはイノシシをしばって運ぼうと思いましたが、あいにくなわを持ってきていません。
老阿公想愛摎山豬綯等運轉去,恁堵好無帶著索仔。
「なわがないと、イノシシを運べんし。何かなわになる物は?」
「無索仔就無法度運山豬,麼个東西做得準索仔用?」
辺りを見回すと、ふじのつるがありました。
脣頭尋看,有一條藤仔。
「よし、このふじのつるをなわにしよう」
「好,用這藤仔做索仔。」
おじいさんはふじのつるを両手でつかむと、ぐいっと引っ張りました。
老阿公用雙手去拉藤仔,出力拉。
すると、ふじのつるにヤマイモのつるがからまっていて、ふじのつると一緒にヤマイモがズルズルと抜けたのです。
過後,藤仔摎山薯藤纏做下,拉著一拖拉。
「おおっ、これは大もうけだ」
「哦~,這下賺多了哪。」
おじいさんがヤマイモを数えてみると、十本もありました。
老阿公算一下山薯,總下有十條。
「しかし、こうたくさんあっては持ちきれないな。
「但係,這恁多拿毋忒,
ちょうどあそこにかやがあるから、あのかやで、つと(→わらなどを束ねて物を包んだもの)を作ろう」
堵好,該片有娘婆,用該娘婆來做袋仔。」
おじいさんはかやをつかむと、草切りガマでザックリとかり取りました。
老阿公抓等娘婆就用鐮仔割。
するとかやのむこうから鳥の羽が見えて、バタバタバタと動きました。
過後,看著娘婆對面有鳥翼,bata bata bata在該停動。
何とかやの中に、キジがかくれていたのです。
娘婆堆肚仰會有鴙雞囥在該。
「はてさて、今日は何て良い日だ。
「還好,今晡日日仔還好哦!」
ウナギとイノシシ、ヤマイモとキジが一度に取れるなんて」
「鰻仔、山豬、山薯、鴙雞一下就捉著。」
おじいさんがキジを引っ張り出すと、かやの中に白い物が転がっていました。
老阿公捉出鴙雞時節,娘婆裡肚輪出白白个東西。
「ありゃ、これはキジのタマゴだ」
「唉哦,這係鴙雞个卵。」
タマゴは全部で、十三こありました。
卵總下有十三隻。
「さて、どうやって持って帰ろうか?」
「該,愛仰般拿轉去呢?」
おじいさんはイノシシを背中に背負い、ウナギを右手に持ちました。
老阿公背囊頂背等山豬,正手拿等鰻仔。
左手にはかやのつとを持っており、つとの中にはキジとヤマイモとタマゴが入っています。
左手擐等娘婆做个袋仔,袋肚張等鴙雞、山薯、鴙雞卵。
「こんなには食いきれんから、村人たちにもごちそうしてやろう」
「這恁多東西食毋忒,拿兜來請村民食。」
おじいさんは家へ帰る途中、かれ枝のたばをひろうと背中のイノシシの上にのせました。
老阿公轉屋个路項,拈兜燥樹桍,綑好綯在山豬頂背。
ごちそうを作る時の、たき火にするためです。
準備煮料理時節做樵火用。
「ふぅー、重かった」
「fu~,還重。」
何とか家にたどり着いたおじいさんは、村中の人を呼び集めました。
辛辛苦苦行到屋个老阿公,摎村民喊過來。
「今日は、ごちそうを作るぞ。
「今晡日,來煮好食个料理。
ウナギにイノシシ、キジにヤマイモ、キジのタマゴもたくさんあるから、どれでも好きなのを食べてください」
鰻仔還有山豬,鴙雞還有山薯,鴙雞卵有當多,儕儕乜做得盡量食你好食个東西。」
おじいさんは大きななべに、イノシシの肉を入れました。
老阿公摎山豬肉放落大鑊仔。
小さななべには、ウナギを入れました。
細鑊仔放鰻仔。
そして火を燃やそうとかれ枝を持つと、かれ枝が『クッ、クッ』と鳴きました。
過後,拿起燥樹桍準備起火時節,燥樹桍『kud、kud』滾響。
「おや?何だろう?」
「唉哦?麼个東西?」
かれ枝を調べてみると、中にイタチが三匹かくれていました。
看一下燥樹桍,裡肚有三條黃鼠狼囥在該。
「おおっ、ウナギにイノシシにキジにヤマイモにタマゴも取れた上に、三匹のイタチまで手に入るとは。
「哦,捉到鰻仔、山豬、鴙雞、山薯、鴙雞卵、還有三條黃鼠狼。
これはきっと、わしがよく働くので、神さまがほうびにくださったにちがいない」
這定著係因為𠊎平常當煞猛,神明賞分𠊎个獎品。」
おじいさんはニコニコして、おいしいごちそうを村人たちにふるまいました。
老阿公笑咪咪,準備當豐沛个酒席請村民。
註: イノシシとは、体は太く、首は短く、口が突き出しているのが特徴で、国産のものは全長が約1.2メートル、で、ヨーロッパ中南部からアジア東部の山野に生息します。背面に黒褐色の剛毛があり、子どものイノシシは「ウリ坊」といって、親しまれています。
註: 山豬个身體較肥,頸根較短,嘴斗突出,日本國產山豬全長1.2公尺,棲息在中歐、南歐到東亞个山區。背囊生烏𪐞豬肝色个鬃毛,細山豬子背囊有像銀色香瓜个毛,安到「瓜坊」。
ブタの原種であるため、味はブタに似ていますが、食べると体が温まることから、冬の食べ物として、むかしから食されています。
家豬个原種,味道當相像,毋過,食山豬肉了後,體溫會較燒暖,頭擺以來斯在冷天時食。
おしまい
煞咧
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