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12月16日の日本の昔話
キツネとタニシ
狐狸摎田螺
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
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投稿者 「ちょこもち」 ちょこもち
むかしむかし、足の速いのがじまんのキツネがいました。
頭擺頭擺,有一條腳當會走、沙鼻碌碌个狐狸。
ある時、このキツネがタニシに言いました。
有一擺,這條狐狸摎田螺講︰
「ちょっと都(みやこ)まで、行って来たんじゃ」
「愛來去城肚一下。」
キツネは足のおそいタニシを、いつもバカにしています。
狐狸長透搣耍腳步較慢个田螺。
「都までは遠いから、足のおそいタニシなんかには絶対に行けんところじゃな」
「城肚離這位恁遠,像田螺腳步恁慢,絕對行毋到該位。」
タニシはキツネがじまんばかりしているので、ちょっとからかってやろうと思いました。
田螺認為狐狸恁沙鼻,所以想愛撩弄佢一擺。
「キツネさん、そんなに足が速いのなら、わたしと都まで競走(きょうそう)しませんか?」
「狐狸君,你腳步恁遽,來比賽看麼儕先到城肚。」
「ギャハハハハハハー!タニシがどうやって、あんな遠くまで行けるんじゃい」
「giyahahahahahahaー!田螺仰般行乜行毋到恁遠个城肚。」
「キツネさんに行けるなら、わたしにだって行けます。だいたいキツネさんは、わたしよりはやく歩けるのですか?」
「狐狸君,若係你做得去,𠊎就做得去。狐狸君一定比𠊎走較遽嘎?」
「なに!わしの方が速いに決まっとる!」
「麼个!𠊎一定比你走較遽!」
はじめはバカにしていたキツネも、だんだん怒ってきました。
起頭看毋起人个狐狸,漸漸發閼了。
「よーし、そんなに言うのなら、わしとどっちが早く都へ着くか競走じゃ!」
「好~,若係恁樣講,就來比走相追,看麼儕先到城肚。」
こうして、キツネとタニシの競走がはじまりました。
斯恁樣,狐狸摎田螺開始走相追比賽。
「よーい、ドン!」
「準備,開始!」
キツネは、ドンドン歩きはじめました。
狐狸開始don don滾飆等走。
ふりかえって見ると、タニシはもう見えません。
斡頭去看,早就看毋著田螺了。
「まったく、わしが勝つに決まっているのに。・・・ほら、もう見えなくなっちまった。バカバカしい」
「𠊎贏定了,・・・噯,完全看毋著了、昶過份了。」
キツネはバカらしくなって、ちょいとひと休みです。
狐狸感到無意思,斯去歇睏一下。
すると、タニシの声がしました。
過後,田螺講︰
「おや? もう疲れたのかい? キツネさん、それではお先に行きますよ」
「哦?悿了係無?狐狸君,該𠊎斯先行了。」
キツネは、ビックリ。
狐狸嗄著驚。
遠くヘおいてきたと思ったタニシが、すぐそばにいるではありませんか。
話著在當遠个田螺,恁遽就走到脣頭來了。
「おかしい。追いつかれるはずはないんじゃが」
「奇怪,敢會分佢追著。」
キツネは不思議に思いながらも、また歩きはじめました。
狐狸盡想毋解,還係開始行。
そのうちに、山に夕日が沈みはじめました。
該當時,日頭漸漸落山了。
キツネはまたまた、バカバカしくなってきました。
狐狸又係變戇神戇神。
「タニシなんかと早歩き競走したって、なんにもならんわ。わしが勝つに決まってるんだから。それに本当の事言うと、都なんか行った事もないし。・・・だいぶ、遠いんじゃろな」
「講愛摎田螺走相追,根本毋使比,𠊎一定贏,講正經,𠊎乜無去過城肚,・・・應該相關遠哪。」
キツネは立ち止まって、おしっこをしようとしました。
狐狸頓恬,想愛屙尿。
すると目の前に、タニシがいます。
田螺就在面頭前。
「キツネさん、早くしないとおくれますよ。わたしについておいで」
「狐狸君,毋遽兜會忒慢了,跈𠊎行!」
「そんな、バカな!」
「這隻大戇牯!」
キツネは、信じられません。
狐狸毋敢相信,
でもタニシは、そこにいます。
毋過,田螺就在該位。
キツネは気持ち悪くなって、むちゅうで走り出しました。
狐狸心情毋好,拚命瀉走。
本当は、タニシはキツネの尻尾につかまってやって来たのでした。
實在係田螺捉等狐狸尾跈來个。
そうとは知らないキツネは、負けたくないので必死で走り続けました。
毋了解个狐狸,毋甘願輸斯拚命走。
そのうちに疲れて、フラフラです。
走到當悿,踜踜蹭蹭。
するとまた、タニシの声が。
田螺又講︰
「キツネさん、そんな事では、おいこしてしまいますよ」
「狐狸君,該種事情,該一定會超過你哊。」
おどろいたキツネは、またむちゅうで走り続けました。
著驚个狐狸,又拚命走。
そして都への道しるべまで来ると、とうとうへたりこんで、
等佢行到去城肚个路標時節,當場坐下去䟘毋起來。
「やっと着いた!タニシに、勝ったぞ!・・・ふうっ、疲れた。そうとも、キツネがタニシに負けるはずはないんじゃ」
「總算到了,贏田螺哦!・・・fu,還悿,確實係恁樣,狐狸仰會有輸分田螺个道理。」
ホッとしたキツネの耳に、またタニシの声が。
忽然間,狐狸个耳空又聽著田螺講︰
「キツネさん!」
「狐狸君!」
キツネはキョロキョロと、あたりを見回しました。
狐狸慌慌張張,滿天尋去尋轉。
「ここですよ、キツネさん」
「在這位哦,狐狸君!」
タニシが、都への道しるべの上にいます。
田螺在去城肚个路標頂。
「おそいな。今着いたところかい? わたしはとっくに着いて、都見物をすませた後ですよ」
「還慢哪,這下正到係無?𠊎早就到了,去城肚遶一輪轉來了。」
「そ、そんなばかな・・・」
「有,有恁戇个人・・・」
それからというもの、キツネは足が速い事をじまんしなくなったそうです。
自該擺以後,狐狸聽講毋敢再過逞講佢走當遽。
註: タニシ科の淡水産巻貝の総称で、貝殻は卵円錐形で暗褐色、殻口は広く角質の蓋があります。
註: 田螺科个淡水産巻貝个總稱。貝殻係卵圓錐形,烏𪐞豬肝色、
卵胎生で6~7月頃に子貝を水田・池沼に生みます。
卵胎生,6~7月在水田,濫仔地出世。
食用としても人気が高く、フランスの高級食材のエスカルゴよりも美味と言われています。
當受歡迎个食物,聽講比法國高級食材蝓螺還較好食。
タニシが人間の赤ちゃんのかわりに生まれてくる昔話は、世界中に多く存在し、今回紹介する「タニシ長者」も、その中の一つです。
田螺出世做人類嬰兒仔个民間故事,世界有當多,這擺紹介个「田螺有錢人」乜係其中之一。
おしまい
煞咧
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