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6月29日の百物語

甚内と怪物

甚内と怪物
和歌山県の民話和歌山県情報

 むかしむかし、熊野(くまの)の奥の小口(こくち)という里に、平家の残党で甚内(じんない)という一人の侍が住んでいました。

 ある日の事、甚内が風邪をこじらせて寝込んでいるところへ、茶坊主風の男がやって来て言いました。
「甚内さま、これは万病に効く薬です。差し上げますので、どうぞ、お試しを」

 そして次の日も、また次の日も、同じ時刻になるとその男がやって来て薬をすすめるのです。
 ところが、その薬を飲むと病気はかえって悪くなる一方なので、甚内は、
(あの男、ただ者ではあるまい。もしや、物の怪では?)
と、考えて、鴉太刀(からすだち)という伝家の宝刀をふとんの下に隠し待っていました。
 すると、いつもの時間に男がやって来て、今日も薬をすすめます。
(もう、だまされんぞ)
 男の様子をよく観察すると、目が死んだ魚の様に白くにごっていました。
 そして肌がウロコの様にザラザラしていて、生臭い匂いもします。
(やはり、こいつは人間ではないな。さては、魚の物の怪か?)
 そう考えた甚内は、ふとんの下から刀を取り出すと、
「てゃっ!」
と、男めがけて切りつけたのです。
 ところが男はさっと身をかわすと、肩先にかすり傷を負っただけで逃げてしまいました。
「しまった! 病ゆえ、太刀筋に迷いがあったか!」
 病気で歩けない甚内が隣に住んでいる若者にあとを追ってもらうと、血の跡が大立島(おおだてじま)のそばの淵まで続いていたというのです。
 物の怪は、その淵の中に逃げ込んだに違いありません。
 やがて元気になった甚内は、那智の浜の徳兵衛という漁師が七年もかけて鍛えたという、立派な鵜(う)と伝家の宝刀の「鴉太刀」とを取り替えてもらい、さっそく淵の中へその鵜を入れました。
 するとたちまち雷鳴がとどろいて淵のまん中に大きな渦が巻き起こると、やって来た鵜を飲み込んでしまいました。
「うむ、どうしたものか」
 甚内は鵜の事を心配しながらも、ひとまず家に帰る事にしました。

 翌朝、雨のあがった淵には、鵜の姿も物の怪の姿も見当たりませんでした。
 甚内が川の流れにそって探してみると、小立島の近くで全身傷だらけの鵜と、大きな大きなアメノウオの死体を見つけました。
 あの茶坊主の正体は、この大アメノウオだったのか、それから茶坊主が現れる事はありませんでした。
 甚内は立派に戦って死んだ鵜を抱きかかえると、手厚く葬ってやったという事です。

おしまい

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