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9月30日の百物語

谷ぞこのわらい声

谷底の笑い声
高知県の民話高知県情報

 むかしむかし、土佐の国(とさのくに→高知県)の山あいの村に、佐市(さいち)という猟師(りょうし)がいました。
 佐市がいつも一人で山奥に猟(りょう)へ行くので、猟師仲間が佐市に言いました。
「佐市や。この山には化け物が住んでいると、聞いた事があるだろう?あんまり山奥に行くと、化け物が出て来て食われてしまうぞ」
「はん。大物は、山奥にいるのだ。それに化け物など、怖くない。もしも出て来たら一発で仕留めてやるから、楽しみに待っているんだな」

 ある夏の事。
 佐市がいつもの様に山奥へ行くと、風もないのに山の木々が激しくゆれ出しました。
 その激しいゆれは佐市の近くを通って、やがて深い谷底へ消えてしまいました。
「今のは、何だったんだ? つむじ風なら木の葉がたくさん空へ吹き上がるはずだが、まったく静かなものだった」
 佐市は鉄砲を構えながら、木々のゆれが消えていった谷底へ向かいました。
「もしかすると、見た事もない大物を仕留められるかもしれんぞ」

 谷底に近づくと、底の方から笑い声の様な物が聞こえてきました。
 それは一人の声ではなく、何十人もの男たちが笑っている様です。
「猟の仲間たちが、こんなところまでやって来るはずはないが」
 佐市は足元に注意しながら、谷底へおりていきました。
 すると谷川の大岩に大きな物が腰をかけて、足をブラブラさせていました。
 それは人の背丈をはるかにこえる、大入道です。
 その大入道には八つの頭があり、その八つの頭が話しをしながら笑っていたのです。
 何十人もの男たちが笑っている様に聞こえたのは、この大入道の八つの頭だったのです。
 さすがの佐市も、恐ろしさのあまりガタガタと震えてしまいました。
 するとその震えに気づいたのか、大入道の八つの顔が、いっせいに佐市の方を見つめたのです。
「誰だ! そこに隠れておるのは!」
 佐市は答える代わりに鉄砲を構えると、夢中で引き金を引きました。
 しかし八つの顔はヒョイと首を伸ばして、鉄砲の玉をよけてしまいました。
 佐市は続けて鉄砲を撃ちましたが、何発撃っても当たりません。
 とうとう玉は、最後の一発です。
「これが最後の一発か。頼むぞ」
 佐市は鉄砲を構えると、八つ顔の大入道が岩の上に立ち上がりました。
 その時、大入道の着物の間から、人のこぶしよりも大きなへそが見えました。
 佐市はへそに狙いをつけると、最後の一発を撃ち放ちました。
「ウギャアーーーー!」
 玉は見事に命中して、大入道はものすごい声をあげて谷川へ転げ落ちました。
「やっ、やっつけたか?!」
 佐市が谷川へ行ってみると、不思議な事に大入道の体が水に溶けていったのです。
「いかん。このままでは、みんな溶けてしまう!」
 佐市は猟師仲間に見せてやろうと、まだ溶けていない大入道の頭を一つ取り上げました。
 けれども、その頭も帰る途中で溶けてしまい、残ったのは三十本ばかりの赤い髪の毛だけだったという事です。

おしまい

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