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      1月15日の小話 
        
      看病 
      
      
        ある時、一人暮らしの八五郎(はちごろう)が病気になりました。  
        「おいおい、八こうの奴が病気だってさ。みんなでお見舞いに行ってやろうじゃないか」 
   こうして八五郎の友だちが二、三人集まって、お見舞いに行く事になりました。 
  「よう、具合はどうだ? 安心しなよ、おれたちが看病してやるからな」 
   友だちが言うと、八五郎は嬉し涙を流しました。 
  「ありがたい、持ちべき物は友だな。まあ何もないが、賑やかに話でもしていってくれ」 
  「そうかい、それじゃあ何か用があったら声をかけろよ。遠慮なんかする事はないぞ」 
   そう言って友だちは賑やかに話などをしていましたが、そのうちに花札が始まってしまいました。 
   勝ったの負けたのとやっているところへ、八五郎が声をかけました。 
  「もしもし、水を一杯くだされ」 
  「・・・」 
  「もしもし、すみませんが、お水を・・・」 
  「ああ、今やるぞ」 
   友だちは声ばかりで、いつまでたっても来てくれません。 
   たまりかねた八五郎が、ふらふらと起きて来たのを友だちが見つけて言いました。 
  「これ、どこへ行くのだ、寝ていないと危ないぞ」 
  「ちょっと、水を飲みに」 
   すると友だちが、次々と言いました。 
  「おお、それならついでに、おれにも水を持って来てくれ」 
  「おお、おれは酒だ。酒を持って来てくれ」 
        「おれにはまんじゅうだ。なければ買って来てくれ」 
        「・・・・・・」 
         
       この様な友だちを、悪友と言います。 
      ♪ちゃんちゃん 
(おしまい) 
       
      関連する記念日紹介 
「5月12日 看護の日」について (366日への旅)より 
  
記念日イメージキャラ 福ちゃん イラスト「ぺんた」 ※無断転載禁止 
         
         
         
        
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