今日の江戸小話 福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 4月の江戸小話 > めじるしの犬

4月14日の小話

めじるしの犬

めじるしの犬

♪おはなしをよんでもらう(html5)
朗読 : 青のぷよの世界♪

 長い間、山里から出たことがないおじいさんがいました。
 ある日、おじいさんが家族に言いました。
「生きているうちに、一度、京の見物をしたいもんじゃ」
 すると、家族はお金を工面して、おじいさんを京都見物に出してやる事にしたのです。
「いいかい、おじいさん。
 京の町は、どれも家のつくりが似ていますからね。
 迷子にならないよう、宿を出る時には、ちゃんとめじるしをつけていきなされや」
「わかった、わかった。心配いらんわい」

 さて、京の町の宿についたおじいさんは、さっそく宿のおかみさんに尋ねました。
「この近くで、見物するようなところはないかのう?」
「そうどすねえ。近くに新しいきれいな橋がかかりまして、たいそうな評判でございますえ。お客さんも、ごらんになられませ」
 そこでおじいさん、橋の見物に出かける事にしました。
「そうそう、めじるしを忘れてはいかんな。えーと、何かめじるしになる物は」
 外に出てながめると、宿屋の庭先に、大きな一匹の犬が寝ています。
「よし、あの犬をめじるしにすればよい。『庭先に、大きな犬が寝そべっている宿屋』。これを覚えておけば、間違いなく帰れるだろう」
 おじいさんは、橋を見物しました。
 さすがは京の町。
 赤いらんかんの見事な橋でした。
 ついつい感心しているうちに、日が暮れてきました。
「さて、宿屋に戻って、晩ご飯をいただこう」
 おじいさんは、庭先で犬が寝そべっている宿屋を探しましたが、どこを探しても見つかりません。
 犬は、どこかへ遊びに行ってしまったのでしょう。
「おーい、どこじゃ? 犬が寝そべっている宿屋はどこじゃ?」
 おじいさんは夜通し探し続けましたが、ついに宿屋を見つける事が出来ずに山里へ帰ってしまいました。

♪ちゃんちゃん
(おしまい)

前のページへ戻る


     4月14日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
SOSの日
きょうの誕生花
満天星(どうだんつつじ)
きょうの誕生日・出来事
1981年 小泉 進次カ (政治家)
恋の誕生日占い
着物が似合う和風美人
なぞなぞ小学校
ひもで出来てる鳥は?
あこがれの職業紹介
陶芸家
  4月14日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
しびれの薬
きょうの世界昔話
力比べ
きょうの日本民話
イモ掘り藤五郎
きょうの日本民話 2
サルの一文銭
きょうのイソップ童話
カラスと水差し
きょうの江戸小話
目印(めじるし)の犬
きょうの百物語
もどり五斉

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ