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１２月８日の小話

医者の一番客

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投稿者　「フー」　　ハーリ・クィン朗読館

　むかしは、特に医者の知識がなくても、誰でも医者になれたのです。

　ある日、米つきをしていた六べえが、
「医者ほど、良い商売はないと聞く。・・・よし、おれも医者になろう」
と、医学の事など何も知らないくせに、名前を米臼足庵（こめうすそくあん）とそれらしく変えて、医者のかんばんをあげました。
「さあ、あとは患者が来るだけだ。・・・はやく来ないかなあ」
　足庵が、今か今かと待っていると、
「ごめんください。足庵先生は、おいででしょうか。おたのみもうします」
と、誰かがやって来ました。
「よし、一番客だ！」
　足庵が喜んで出てみると、そこにいたのは墓石屋の親父でした。
　墓石屋の親父は、頭を下げて言いました。
「先生の見たて違いであの世へ行く人が出ましたら、墓石は家に頼むように、ぜひともおすすめください。お安くしておきますので」

♪ちゃんちゃん
(おしまい)