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      8月23日の世界の昔話 
          
          
         
  あなたの大切な物 
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      投稿者 「ひつじも眠る朗読チャンネル」 
       
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      制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】 
       
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      制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル 
       
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      制作: ユメの本棚 
       
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      投稿者 「さとり すすめ / Susume ASMR」 
       
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      投稿者 「天乃悠の朗読アート」   天乃悠の朗読アート 
       
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      投稿者 「眠りのねこカフェ」 
      
      
      
       むかしむかし、貧しい農家に、とても頭の良い娘がいました。 
   王さまに気に入られた娘は、王さまと結婚して王妃(おうひ)さまとなりました。 
   娘が王妃さまになって、何年かがすぎたある日のことです。 
   まきを売りにきた農民たちが荷車を止めて休んでいると、荷車を引いているウマが急に産気(さんけ)づいて、かわいい子ウマをうんだのです。 
   しかし何を思ったのか、その子ウマは隣の荷車のウシをお母さんと勘違いして、そのウシのそばに座り込んでしまったのです。 
   するとウシの飼い主が、 
  「子ウマは、自分の物だ」 
  と、言い出して、ウマの持ち主とけんかを始めたのです。 
   そこヘ現れたのが、王さまでした。 
   ウマの飼い主とウシの飼い主が、それぞれ王さまにうったえます。 
  「うちのウマが、子ウマをうんだのです。だから子ウマは、うちのウマです」 
  「いいえ。うちのウシが、子ウマをうんだのです。そのしょうこに、子ウマはうちのウシから離れようとしません」 
  「何をいう、ウシがウマをうむものか! だいたいお前のウシは、オスウシだろうが!」 
  「オスだろうが、ウシだろうが関係ない! 子ウマはうちの物だ!」 
   ウシの持ち主の言い分はムチャクチャでしたが、王さまはこう言ったのです。 
  「子どもは、母親をしたうもの。子ウマがウシをしたっているのなら、子ウマはウシがうんだに違いない」 
   こうして子ウマは、ウシの持ち主の物になったのです。 
   せっかく産まれた子ウマを取られたウマの持ち主は、その場でいつまでもくやし泣きをしていました。 
   それを見ていた王妃が、ウマの持ち主に近寄ります。 
   彼女はウマの持ち主に、あるアイデアを教えました。 
   そしてそのアイデアが決して、彼女の考えだと言わないと約束させたのです。 
   
   さて、次の朝。 
   王さまが朝の散歩をしていると、町の広場でウマの持ち主が魚取りのアミで魚をとろうとしていました。 
   不思議に思った王さまが尋ねると、ウマの持ち主はこう言いました。 
  「オスウシに子ウマがうめるものなら、町の広場で魚だって取れるはずです」 
   このあてつけに、王さまは怒りました。 
  「これは、お前の考えではあるまい。誰がそんな事を思いついた」 
  「へい、実は・・・」 
   ウマの持ち主は、本当の事を話してしまいました。 
   すると王さまは、妃のところへ怒鳴り込みました。 
  「わしをだますような、そんな妃はいらん! 自分の大切な物を一つやるから、出て行け!」 
   
   その晩、二人はお別れの酒をくみかわしました。 
  「これでそなたとは、お別れだな・・・」 
  「そうですわね」 
  「妃よ・・・」 
  「はい」 
  「・・・その、わしに、何か言う事はないのか?」 
  「別に、何もありませんわ」 
  「・・・そうか」 
   王さまは自分の言った事を後悔(こうかい)していましたが、妃があやまろうとしないので言葉を取り消す事が出来ません。 
   王さまはションボリしていましたが、妃はというと、あれあれ、目が笑っていますね。 
   きっとまた何かを、たくらんでいるのでしょう。 
   王さまはそんな妃には気づかず、悲しさをまぎらわそうと盃(さかづき)のお酒を一気に飲みほしました。 
   実はそのお酒、妃が眠り薬を入れていたのです。 
   
   次の朝、王さまが目覚めたのは汚い農家のベッドの上でした。 
   ここは、妃の実家です。 
  「いったい、これは何のまねだ?」 
   王さまが妃に尋ねると、妃はニッコリ笑って言いました。 
  「王さまはわたしに、一番大切な物を一つやると言いました。ですからわたしは、わたしの一番大切な王さまを、いただいてきただけですわ」 
   この言葉にすっかり感動した王さまは、自分の裁判(さいばん)が間違いだった事をみとめると、あのウマの持ち主に十頭の子ウマをやる事を約束し、そのまま妃と仲良くお城へ帰りました。 
      おしまい 
        
         
        
 
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