福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 1月の日本昔話 > じっと見つめていました
1月5日の日本の昔話
じっと見つめていました
目盯盯緊看
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて
・日本語 ・中国語 ・客家語
・日本語&中国語 ・日本語&客家語
客家語 : 鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個非常快樂个吉四六先生,
その吉四六さんが、まだ子どもの頃のお話です。
這條古係講吉四六先生還係細人仔時節个事情。
ある秋の事。
有一年秋天,
家の人はみんな仕事に出かけるので、吉四六さんが一人で留守番をする事になりました。
佢屋下人因為有事情全部都愛出門,伸著吉四六一儕人留下來掌屋。
出かける前に、お父さんが言いました。
出門以前,厥爸摎佢交代,講:
「吉四六や、カキがもう食べられる。明日木から落とすから、今日は気をつけて見ていてくれ」
「吉四六啊,柿仔熟咧做得食了,韶早愛在樹頂摘下來,所以你今晡日愛掌好兜仔哦。」
「はい。ちゃんと見ています」
「好!𠊎會掌好。」
吉四六さんは、元気な声で返事をしました。
吉四六當有元氣應佢。。
でも、食べられるカキがいっぱいあるのに、黙って見ている吉四六さんではありません。
看著樹頂打著淰淰黄訌訌个柿仔,當毋著,無法度再過恬恬看个吉四六,
お父さんたちの姿が見えなくなると、さっそく村の中を走り回りました。
等厥爸行遠咧,佢就走去莊項大聲嘶:
「おーい、家のカキがもう食べられるぞ。みんな食べに来い」
「噯!𠊎屋下个柿仔熟了,做得食咧,大家來去摘來食。」
これを聞いた村の子どもたちは、大喜びで吉四六さんの家にやって来ました。
莊內聽著這個細人仔喊,歡喜壢天來到吉四六先生屋下。
そして、長い棒でカキを落とすと、みんなでお腹一杯食べてしまったのです。
過後擎等長棍仔去敲柿仔,大家食著飽𩜰𩜰。
さて、夕方になってお父さんが家に戻ってくると、吉四六さんは柿の木の下に座っていました。
臨暗仔厥爸轉到屋下,吉四六先生在柿仔樹下坐等。
「お前、一日中そうやっていたのか?」
「你,歸日斯坐在該係無?」
「はい。だって、気をつけて見ていろと言うから、ジッと柿の木を見ていたんです」
「係!因為你喊𠊎細義看等,所以一直看等柿仔樹。」
「そうか。偉いぞ」
「恁樣哦,還乖哦!」
感心したお父さんが、ふと柿の木を見上げて見ると、カキの実がずいぶんと減っています。
厥爸當佩服佢,毋過無想著,等佢臥起頭來,看著柿仔樹頂个柿仔仰會少忒恁多。
「おや?
「阿姆哀!
カキの実がずいぶん減っているな。
柿仔少忒當多,
これは、誰かが取って行ったに違いない。
這定著有人來偷摘,
おい吉四六、これはどうした事だ?」
噯!吉四六,這到底發生麼个事情?」
すると吉四六さんは、平気な顔で言いました。
吉四六先生像無事人樣,講:
「はい、村の子どもたちが次々と来て、棒を使ってカキの実をもいでいきました。
「莊肚該兜細人仔弛崗打陣來,用棍仔敲柿仔食,
私は言われた通り、気をつけて見ていたから間違いありません」
𠊎照你个交待非常注意掌等無毋著啊。」
「とほほ。・・・カキ泥棒が来ないよう、気をつけて見ていろと言ったのに」
「還冤枉。...交待你注意掌等,毋好分賊仔來偷摘柿仔,結果變恁樣。」
お父さんはそう言って、ガックリと肩を落としました。
厥爸講了後,忽然間感覺歸身軟怠怠。
おしまい
煞咧
註:
きっちょむさん:きっちょむさん(→漢字では吉四六)は、大分県大野郡野津町に実在した人物で、酒造業をいとなんでいた初代広田吉右衛門であるとされています。
きっちょむさん,(漢字吉四六先生),係在大分縣大野郡野津町實際存在个人物,係分人認為經營釀酒業个第一代廣田吉右衛門。
その位牌や墓ものこっているとされていますが、彼がきっちょむさんかどうか、確かな証拠はありません。
該隻牌位摎風水還殘留等,毋過,佢係毋係這個吉四六先生,無確實个證據。
昔話を代表するおどけ者のひとりで、とんちをはたらかせたり、ずるがしこくふるまったり、また逆に、おろかな人間としての一面もあります。
代表傳說肚代表古琢个一個人,機智工作,奸詐狡猾,反過來講,也有𤘅奓个一面。
きっちょむさんのお話は多く、その数は二百話以上もあるとされていますが、その大半は近年の創作だといわれています。
有關吉四六先生个故事當多,差毋多有二百回以上,毋過,一半以上認為係這幾年个創作。
|